小林美樹

人魚の夏 – 小林美樹

自転車を走らせて 灯台をまわり
ぎらぎらの砂浜を 私は駈けて行く

麦わら帽子を 投げ捨てて
真白なドレス 脱ぎ捨てて
私は人魚に 変って行く
真夏の人魚に 変って行く

誰かに見られたら 突然見られたら
どうしたらいいのでしょう どうしよう
どうしよう

舟をこぎ沖に出て 居眠りをしたら
ひりひりと肌を灼く 太陽上にある

制服姿は 忘れたわ
子供の感じ 忘れたわ
恋する人魚が 泳ぐように
裸の人魚が 泳ぐように

誰かに見られたら 突然見られたら
どうしたらいいのでしょう どうしよう
どうしよう

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