小川範子

夜の平行線 – 小川範子

車の電話から
いきなり呼び出すの
会いたいと 一言も言わず
トワレで仕上げても
爪を切り忘れて
気になるわ 会わずに引き返したい

好きなものが 同じだったあの頃
今は 嫌いなもの そればかりが
二人を結ぶ

点線の綱渡り
ふみはずす 時を待つの
もっと 傷つけて 傷ついて
あぁ だけどね
だって ひとりよりましなんて
お互い様
朝が来る頃は 思うから

ダッシュボードの中
アスピリンのラベル
この恋も 熱が冷めてくる
リフトのボタンさえ
このごろはわたしが
押している 優しさを見失うわ

きっと 二人は 運命の替え玉
転がりだしたまま 止められない
それだけなのよ

平行な 綱渡り
もう夜は 重ならない
もっと 喧嘩して 仲直り
あぁ なんてね
だって 本当の気持ちなど
知りたくない
涙も今では 信じない

好きなものが 同じだったあの頃
今は 嫌いなもの そればかりが
二人を結ぶ

点線の綱渡り
ふみはずす 時を待つの
もっと 傷つけて 傷ついて
あぁ だけどね
だって ひとりよりましなんて
お互い様
朝が来る頃は 思うから

平行な綱渡り
足元が あぁ ふらつく
だって 本当の気持ちなど
伝えたなら
ドレス脱ぐように Good bye

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