小川みすず

喝采 – 小川みすず

いつものように幕が開き
恋の歌うたうわたしに
届いた報(し)らせは 黒いふちどりがありました
あれは三年前 止めるアナタ駅に残し
動き始めた汽車に ひとり飛び乗った
ひなびた町の昼下がり 教会のまえにたたずみ
喪服のわたしは 祈る言葉さえ 失くしてた

つたがからまる白い壁
細いかげ長く落として
ひとりのわたしは こぼす涙さえ忘れてた
暗い待合室 話すひともないわたしの
耳に私のうたが 通りすぎてゆく
いつものように幕が開く
降りそそぐライトのその中
それでもわたしは 今日も恋の歌 うたってる

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愛されたくて – 小川みすず

この街は 泥の河もがくほど 沈みますちらちらと 街灯り蛍のようで 手を伸ばす愛されたいよ 愛されたいよ誰か私を 見つけてよ抱きしめて 抱きしめて泣かせてよ優しさ

何でやねん – 小川みすず

忘れへんわ 今でも真赤に染まった天満橋夕陽 背中に浴びながらぽつり「サイナラ」や頓馬な話や 何でやねんうちが本気になったのがあかんかったんか想い出してくれへん?

柳ケ瀬ブルース – 小川みすず

雨の降る夜は 心もぬれるまして一人じゃ なお淋し憎い仕打と うらんでみても戻っちゃこない あの人はあゝ柳ケ瀬の 夜に泣いている二度と逢えない 人なのになぜか心が

石狩挽歌 – 小川みすず

海猫(ごめ)が鳴くから ニシンが来ると赤い筒袖(つっぽ)の やん衆がさわぐ雪に埋もれた 番屋の隅でわたしゃ夜通し 飯を炊くあれからニシンは どこへ行ったやら破れ

空港 – 小川みすず

何も知らずに あなたは言ったわたまには一人の 旅もいいよと雨の空港 デッキにたたずみ手を振るあなた 見えなくなるわどうぞ帰って あの人のもとへ私はひとり 去って

大阪情話~うちと一緒になれへんか~ – 小川みすず

人はこころや銭やない泣いたらあかん 泣いたらあかん 別嬪(べっぴん)台なしや飛田のお店に出るという 十日戎(とおかえびす)の前の晩あんたがいうた言葉を忘れへんう

女の意地 – 小川みすず

こんなに別れが 苦しいものなら二度と恋など したくはないわ忘れられない あのひとだけど別れにゃならない女の意地なの二度と逢うまい 別れた人に逢えば未練の 泪をさ

新宿の女 – 小川みすず

私(あたし)が男に なれたなら私(あたし)は女を 捨てないわネオンぐらしの 蝶々にはやさしい言葉が しみたのよバカだな バカだなだまされちゃって夜が冷たい 新宿

青空気分 – 小川みすず

風采で男の値打ち決めちゃいけないと思うけどでもね ヨレヨレのジャンパーにくたびれ果てたハンチングまるでファッションご縁のない御仁(おひと)行きずりに声かけた そ

Summer Timeを聴きながら – 小川みすず

夕暮れの 町にあの人はあたし残して 消えてった見えなくなっても 口笛のSummer Time Summer Time 聴こえて来るよ「今度逢うときゃ 堅気でいる

空行く雲よ – 小川みすず

愛することに 迷ったら空行く雲に 尋ねてみよう離ればなれに なりながらどうして泣かない 千切れ雲恋人 信じていると 云うのでしょうか雲よ 空行く雲よ 教えて愛す

北九ブルース – 小川みすず

愛した振りして 本気にさせたアイツが恋しい 夜もあるにじむ涙の 門司港(もじこう)レトロ憎い仕草が また浮かぶあぁ… おんな泣かせる 北九ブルース揃いの浴衣で 

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