小室等

ぽつねん – 小室等

公園の陽だまりに
おばあさんひとりぽつねん
やがて極楽でも今地獄
膝は痛むし目はかすむ
富士山だって崩れてく
もういいかい
まあだだよ

孫たちの顔おぼろ
おばあさんひとりぽつねん
やがて極楽でも今地獄
桜ばっかり花ざかり
いろはにほへとなんまいだ
もういいかい
まあだだよ

来し方も行く末も
おばあさんひとりぽつねん
やがて極楽でも今地獄
することもなし退屈だ
救急車でも呼ぼうかね
もういいかい
まあだだよ

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今日までそして明日から – 小室等

わたしは今日まで生きてみました時にはだれかの力をかりて時にはだれかにしがみついてわたしは今日まで生きてみましたそして今わたしは思っています明日からもこうして生き

夢のまた夢 – 小室等

夢のまた夢なんの夢あの街この街日が暮れて赤いぞうりの緒が切れた夢のまた夢なんの夢夢のまた夢いつの夢回り燈籠辿るようなひとりぼっちの隠れん坊夢のまた夢いつの夢夢の

年輪・歯車 – 小室等

ふとかれに出あってふとキスされてふとかれが好きになってふとすばらしいとおもってふとほほえんでふと大きな声をあげてふと未来を夢みてふと美しい生活をはじめてふと子ど

バラはあこがれ – 小室等

永遠の誓いにそむいた心が君を捨ててゆくときも隠しきれない悩みを誰にも打ち明けられないときもバラはあこがれバラはあこがれバラは僕たちの夢くらしに追われあちこちと街

三条へ行かなくちゃ – 小室等

三条へ行かなくちゃ三条堺町のイノダっていうコーヒー屋へねあの娘に逢いになに好きなコーヒーを少しばかり

ごあいさつ – 小室等

どうもどうもいやどうもいつぞやいろいろこのたびはまたまあまひとつまあひとつそんなわけでなにぶんよろしくなにのほうはいずれなにしてそのせつゆっくりいやどうも

12階建てのバス – 小室等

どこからやってくるのだろう約束のように バスがやってくる12階建てのバスがバスがやってくるあれは昨晩おそく彼女に会いたくなっただから会いに行った彼女は明るく言っ

独り立ちの歌 – 小室等

遠い空が晴れた朝には地平さして 鳥が飛ぶよふるい友よ 君にさよなら雨の日には 手紙書くさ涙をぬぐい 訪ねてゆこうはるかな空の まだ見ぬ あの人長い夜の 夢に目覚

デッドヒート – 小室等

全体 何が欲しいの一体 何が欲しいの街角のごみ箱あさってこねくりまわした おとぎ話それとも 唇あわせてぬりたくる嘘に嘘またひとつ嘘が欲しいのかい?でも見ておくれ

フライング – 小室等

山脈はるか 高原のかなたひとり旅するところ古はるか 潮騒のかなた幻の奇しき都沙羅双樹の木蔭に憩う老いたひとりの男に出会った日暮れし里へのその道を聞けば遠く指さし

逃亡の河 – 小室等

高いあの山への道通い道愛、愛遠いふるさとの河氾濫河(あばれかわ)夢、夢三つの顔をもつ俺たち今日の寝ぐらはあの娘の胸肩に背に乱れる山桜高いあの山への道通い道雨、雨

苦業 – 小室等

螺旋階段をのぼる石壁にかこまれた暗いけわしい石の階段をのぼる小さなランプをぶら下げながら階段が尽きさえすれば水平線が見えるのである。あ 階段が尽きさえすれば!螺

かげろうの唄 – 小室等

誰にも叱られず誰にも知られず誰にも罰せられず自分だけのものがほしい何処にでもあっていつでもあって誰のものでもない自分だけのものがほしいもしも空のようにもしも水の

流星花火 – 小室等

「下町は田舎みたいだ」って車に乗り合わせた女の子が言う下町育ちの小室さんは「成程……」と、うなずく道産児の僕は「そうかな……」と、首をかしげる田舎の縁日には肌寒

都会の朝 – 小室等

厚いガラスのむこうに白い河のような高速道路音を刻まない街のかなたに今日がただ急ぐよ心のままに愛して心のままに振舞う悲しみなんか忘れたように都会の朝はいきづく淋し

東京 – 小室等

君ならどこへ行ってもきっとうまくよれるとそう 信じてるよそして 東京 東京僕は残るよ ここに君 知っているだろう僕の気持だからなにも言わないね最後の 最後まで車

ゆきの季節 – 小室等

凍てついた窓彼方に幻のような河あたたかなココアゆるゆるこしらえこんな日の空にせつなく鳥は雪吐息は雪降りてくるはずの愛のゆくえを追っているまばらな人影にひとりきり

無題 – 小室等

いつも いつもぼくが きみを 見ててあげるから安心して おやすみ傷つけあうことに慣れてしまった この世界そこで ぼくらは 生まれ 育った

雨は燃えている – 小室等

激しい夏にまばたきもせず疲れた服脱ぎ捨てれば雨は燃えている雨は燃えている私の羽根を焼いていつかあの子が泣いて通ったあの家もこの家も窓を閉じ始め雨は燃えている雨は

ユイ・コムロ – 小室等

この子のすること見てごらんもう 自分が女だってこと知ってるような僕の思惑や心配などこの子にとっては何でもないがそれでいいさ僕の愛のふるさとになったこの子に僕は僕

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