宮下遊

パラサイトピアノ – 宮下遊

指が鍵に触れていないと死んでしまう病になった
寂しく佇むピアノ
僕は今日も手を置いている

捲れるのは譜面ではなく生命

この音色は響板の振動
そこに毒が在る
白と黒が混ざる精巧な鳴動
躰を飲み込まれた

このピアノはパラサイト
パラサイト
鳴り響くパラサイト

耳が旋律を聞いていないと死ぬ病になった
瞼の裏よりも暗い色の譜面台には何も乗っていない

今此処には僕とお前しか居ない

パラサイト
僕を選んだのはお前の気紛れか
この指は死に怯えながら息吹を奏でてる

パラサイトは
恋や
誘惑や
別れや
切望を
なぞる様に描かせるんだ
このピアノを使って

捲れるのはワンシーンのような生命

この音色は響板の振動
そこに毒が在る
白と黒が混ざる精巧な鳴動
躰を飲み込まれた

暴れだす音色は響板の衝動
毒が溢れてる
白と黒が弾く感情は愛憎
脳まで飲み込まれた

このピアノはパラサイト
パラサイト
鳴り響くパラサイト

生を弾き
死を弾く
パラサイト
パラサイト

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