宇崎竜童

港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ – 宇崎竜童

一寸前なら憶えちゃいるが
一年前だとチト判らねェなあ
髪の長い女だって ここにゃ沢山いるからねェ
悪いなあ 他をあたってくれよ
…アンタ あの娘(こ)の何んなのさ
<港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ>

半年前に止めたハズさ
アタイたちにゃアイサツなしさ
マリのお客をとったってサ そりゃ もう大騒ぎ
仁義を欠いちゃいられやしないよ
…アンタ あの娘(こ)の何んなのさ
<港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ>

ハマから流れて来た娘(こ)だね
ジルバがとっても上手くってよ
三月前までいたはずさ
小さな仔猫を拾った晩に
仔猫といっしょにトンズラよ
どこへ行ったか知らねェなあ
…アンタ あの娘(こ)の何んなのさ
<港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ>

横須賀好きだって言ってたけど
外人相手じゃカワイソーだったねェ
あんまり何んにも云わない娘(こ)だったけど
仔猫と話していたっけ
前借り残したまんま
ひと月たったら おサラバさ
…アンタ あの娘(こ)の何んなのさ
<港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ>

たった今まで 坐っていたよ
あそこの隅のボックスさ
客がどこかを触ったって
店を飛び出していっちまった
ウブなネンネじゃあるまいし
どうにかしてるよ あの娘(こ)
…アンタ あの娘(こ)に惚れてるね
<港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ>

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