太田裕美

Silky Morning – 太田裕美

朝露きらめいて みどり葉が揺れる
消し色にぼやけて 木立ちがざわめく
輝く陽だまりに 手のひらかざせば
絹糸の細さで 風がすりぬける
言葉を失くし 漂い続けてた
疲れた横顔を やさしく陽が染める
このままで 今はただ
静けさを ささやかに 感じたいの

生きてゆくことさえ 哀しく思えた
味気ない月日が 思い出に変わる
知らずにほころびた 心のはぎれを
一針一針と 繕ってゆくの
行き先のない 愛をもてあまして
夜のしじまの中 置き去りにしてきたわ
もう何も 言わないで
遠くへと 夢を見つづけさせてね

もう何も 言わないで
遠くへと 夢を見つづけさせてね

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茶いろの鞄 – 太田裕美

路面電車でガタゴト走り橋を渡れば校庭があるのばした髪に帽子をのせたあいつの影がねえ見えるようだわ人は誰でも振り返るのよ机の奥の茶色の鞄埃をそっと指でぬぐうとよみ

白いあなた – 太田裕美

夕焼けが白いゲレンデに映るあなたの透き徹った言葉が夕陽に染まって赤く燃えるいつも静かなあなただけれども今日は激しく愛してほしい雪景色 二人だけの世界あなたの吐息

ハネムーン・ララバイ – 太田裕美

ファッション雑誌の海のグラビアフルーツかじってのぞきこんだのあなたと写真にはいってゆける魔法の呪文があればいいのに夢に見たカリブ海太陽の海よあなたと二人きり無人

ベージュの手帖 – 太田裕美

陽子はクラスで一番 無邪気な娘なの誰でもウィンクひとつで友だちだった翳りひとつない笑顔十月の雨の朝 トランクをひとつ持ち寝静まる家のドア ひっそりと閉めた陽子机

カントリー・ロード – 太田裕美

いつか私が20才になってブルーのダットサン手に入れたらふるさとの町 飛んでゆくからラララ 私をお嫁にしてね青い空と緑の丘こんな処であなたと小さな家たてたいCou

青空のサングラス – 太田裕美

ZORROと二人きり車に乗り込み出かけようバックミラーに映る都会は白黒映画の摩天楼友だちはみんないい人ばかりよでも私立ち止まってたら自分を見失いそうなのサングラ

わかれの会話 – 太田裕美

夕立ちの窓に頬寄せる君はもう少女じゃないね昔なら稲妻それはぼくの手に抱きついたのにひどいわ今も私のくちびるはふるえているの心の奥まで見透しそうなあなたの瞳がとて

都忘れ – 太田裕美

真っ赤なポストに手紙を入れて帰りに市場で林檎かったわ青くてすっぱいふるさとの味言葉と一緒に送りたかった風なびく麦畑走り去る雲の影なつかしい横顔によく似てる雲だっ

オレンジの口紅 – 太田裕美

去年の季節のかわり目に私が借りてたサマーセーターどうすればこの海で返せるのひと目だけでも逢えませんか淋しい口実でしょうか冷や汗かいてたコカ・コーラ二人で半分ずつ

僕は君の涙 – 太田裕美

涙があふれて 大地にこぼれたまぶしい真夏の陽射しを浴びたら水蒸気になり 青い空 昇る僕は君の瞳から落ちた涙はるかな行方は 白い雲の上悲しみ集めて 流す雨になろう

曼珠沙華 – 太田裕美

涙にならない悲しみのある事を知ったのは つい この頃形にならない幸福(しあわせ)が何故かしら重いのも そう この頃あなたへの手紙 最後の一行思いつかないどこでけ

夕焼け – 太田裕美

あなたに逢えた まぶしい夏が目に浮かぶ夕焼け陽に灼けた やさしい顔が「元気だせ」って叱ってくれる泣いてはいけませんか 一人であなたがとっても好きだから青い波 は

暗くなるまで待って – 太田裕美

コトコト響くサイホンに珈琲が揺れる夕陽はもう斜めの色あゝあなたから誘ったくせ待たせてかわすの心の綾 知ってる人暗くなるまで待ってるわこの淋しさを夜が隠すまで夕映

トライアングル・ラブ – 太田裕美

プリズムの赤や青が陽ざしへと光るブラインド越しに透ける街はもう真夏瞳外らすのは隠し事してる証拠ね誰ともう海で灼けたのか聞かないわプリズムを弾く指に三角の玻璃(ガ

ロンドン街便り – 太田裕美

レンガの道に白チョークの線路想い出は時をさかのぼるわあなたは十で私は七つバブル・ガムふくらます虹色の中ロマンスが弾けて消えたアビーロードの酒場の親父さんたちのパ

太陽写真 – 太田裕美

眠たい朝陽のプール・サイドは花片(びら)浮かべて時が漂うあなたが飛び込むスロー・モーション光のしぶきが心に散るわ「綺麗だね今日の君は人魚のようだ」「上手だわあな

レインボー・シティー・ライト – 太田裕美

街の灯が舗道に虹のように踊るさっきまで降ってた雨が海を越え消えて行くわ口笛であなたはシェルブールのメロディー閉じた傘右手にかけてチャップリン気取っているよクスク

心象風景 – 太田裕美

ぽっかりと心の虚ろに草花が咲き乱れる小枝踏む音に振り向けば走り去るあなたの影がふるえてたディ・ライト・ドリーム追いかけたいのに手や足が陽射しに縫われて動けないそ

自然に愛して – 太田裕美

ほろ苦い汗を夏に飛ばし涼しげに駆けて来る彼ただもの憂げな秋をたたえた瞳(め)で本を読むあなたの肩あー 光と影の間で揺れてそうよ心が二つに裂けそうなのあー 愛をは

夏風通信 – 太田裕美

眠たげな波の気配に描(えが)き込む人影も無い太陽は雲を透かして鈍(にび)色に私を包む朝な夕なに想っていますシルキー・サマー、シルキー・シャドウ晴れた日はひな菊の

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