天月 -あまつき-

僕のことなら忘れてくれていいよ – 天月 -あまつき-

夜が朝に溶けて 曖昧な空を眺める
君が買い残した 置き去りのコーヒー

砂糖は二つねと いつもの癖で入れたけど
少し甘過ぎるなぁ 苦味まで忘れそうだよ

僕の中で 君の中で
残ったものって何だろう

君がとなりに ただ居ないだけ
僕のことなら忘れてくれていいよ
その分 君を思い出すから
黒くなって 溶けてしまう
角砂糖みたく 想いも一緒に
なんて柄じゃないよな
笑われちゃうかな

今 君のとなりで 明日を運ぶ人はいる?
ヒロインは君だと 疑わない人
気づかずにほつれた 二人を繋ぐ赤い糸
固く結び過ぎて 心まで締めつけてた

僕の中で 君の中で
変わったものって何だろう

君の笑顔が 思い浮かぶだけ
僕のことなら忘れてくれていいよ
その分 君を思い出すから
白くなって 滲んでゆく
ミルクみたいに 願いも一緒に
薄れてしまうのかな
それも嫌だなぁ

あの日 閉め忘れた 半開きのドア
わざと鍵はかけないままでいたんだ
君という花の額縁になれずに
触れる事さえもう出来なくて

時計の針は すれ違うだけ
君の夢なら きっと今日も見るけど
そろそろ僕も 進まなくちゃね
ありがとうも さようならも
今ならもっと うまく言えるよ
なんて遅すぎるよなぁ

涙が止まらないや
笑われちゃうかなぁ

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