大木彩乃

雨を待つ五月 – 大木彩乃

次の駅で終点の
レールは続いてる
滑る景色に動かない曇り空
ガラスに頬つけた
路線バスの砂埃
時を連れ去ったら
止まることない寄せて返すリズムが
町を包み始める

ただ引きずってたことを
全て忘れて
濡れた空気が乾いた咽に
重く冷たい

錆びた屋根が啼いている
雨を待つ五月

青い草を引きちぎり
風に投げ捨てた
色添える様に咲き乱れてる花も
土で汚れている
深い皴の老人が
俯きすれ違う
潮の香りに閉じ込められた町で
何を求めているのだろう

どこにいても変わらない
痛みを抱いて
無理に笑って作る明日は
もういらない

緑の海どこまでも
私を魅きつけて
空へ続く心だけ
雨を待つ五月

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