大川栄策

別れ船 – 大川栄策

名残りつきない はてしない
別れ出船の かねが鳴る
思いなおして あきらめて
夢は潮路に 捨ててゆく

さようならよの 一言は
男なりゃこそ 強く云う
肩を叩いて ニッコリと
泣くのじゃないよは 胸のうち

望み遙かな 波の背に
誓う心も 君ゆえさ
せめて時節の 来るまでは
故郷で便りを 待つがよい

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舞酔い雪 – 大川栄策

忘れていたのに 諦めたのに今頃なぜに めぐり逢う憎いいとしい 想い出にお酒つぐ手が 震えますあゝどうする 笑顔がつらい夜の湯の町 舞酔(まよ)い雪あれから流れて

夢一天 – 大川栄策

涙ひとつぶ ふところに花を横目に 廻り道義理もすたれた 人情も枯れた春は盛りと 言うものを今のご時世 寒すぎる酒は一気に 干せるのに恋の盃 なぜ干せぬ意地は挺子

惚れたよ – 大川栄策

思い切る気が くじけるような雨の酒場の ひとり酒惚れたよ 惚れたよ 惚れぬいて忘れられない 夢ばかり足は千鳥で こころは鴎飛ぶに飛べない まよい酒のれん揺れれば

はぐれ舟 – 大川栄策

今日も誰かが 泣いている泣けば涙の 川になる荷物降ろした 男の背中(せな)に吹いて寂しい すきま風灯りひとつぶ 灯りひとつぶ はぐれ舟往けばかえらぬ 片瀬波今じ

思い出の記 – 大川栄策

ああ思い出は 懐かしくふるさと恋て 訪ぬれば親同朋は すでに逝き誓いし友の 面影も今は虚しき 菜の花よああ人生は 夢の夢幾年変わらぬ 山川も流れる雲か 風に散る

新妻鏡 – 大川栄策

僕がこころの 良人なら君はこころの 花の妻遠くさみしく はなれてもなくな相模の かもめ鳥たとえこの眼は 見えずとも清いあなたの おもかげはきっと見えます 見えま

男の純情 – 大川栄策

男いのちの 純情は燃えてかがやく 金の星夜の都の 大空に曇る涙を 誰が知ろ影はやくざに やつれてもきいてくれるな この胸を所詮男の ゆく道はなんで女が 知るもの

港の恋唄 – 大川栄策

港日暮れて そぼ降る雨にむせぶ汽笛よ 誰を呼ぶ君の船かと 波止場に来たが知らぬ他国の とまり船かけた願いも 消え果てた君が別れに のこした言葉思いかえして 涙ぐ

影を慕いて – 大川栄策

まぼろしの影を慕いて 雨に日に月にやるせぬ 我が想いつつめば燃ゆる 胸の火に身は焦がれつつ しのび泣くわびしさよせめて痛(いた)みの なぐさめにギターをとりて 

ギター月夜 – 大川栄策

山に咲く花 色悲し海で鳴く鳥 歌悲し町にいてさえ 寂しいものをなんではるばる 旅を行く忘れられない 胸の傷忘れようとて 旅行けば雨の港の 日暮れの駅も泣いて別れ

青春日記 – 大川栄策

初恋の涙にしぼむ 花びらを水に流して 泣きくらすあわれ十九の 春の夢泣きぬれて送る手紙の 恥ずかしさ待てば淋しや しみじみと街の舗道の 雨の音明日から二度と泣く

丘を越えて – 大川栄策

丘を越えて 行こうよ真澄の空は 朗らかに晴れて楽しい心鳴るは 胸の血潮よ讃えよ わが青春(はる)をいざゆけ遥か希望の 丘を越えて丘を越えて 行こうよ小春の空は 

湯の町エレジー – 大川栄策

伊豆の山山 月あわく灯りにむせぶ 湯のけむりああ 初恋の君をたずねて 今宵またギター爪びく 旅の鳥風のたよりに 聞く君は温泉(いでゆ)の町の 人の妻ああ 相見て

無法松の一生(度胸千両入り) – 大川栄策

小倉生まれで 玄海育ち口も荒いが 気も荒い無法一代 涙を捨てて度胸千両で 生きる身の男一代 無法松空にひびいた あの音はたたく太鼓の 勇駒山車の竹笹 提灯は赤い

能登の恋歌 – 大川栄策

ひと目あなに 逢いたいと肩をふるわせ 波の花砕け散りゆく 能登の海愛にはぐれて さ迷い歩けば冷えた体に 雪が舞う海鳴りばかりが 海鳴りばかりがあああー旅のみちづ

男の喝采 – 大川栄策

空を見上げりゃ 雲ひとつ風に吹かれ 流れて ゆく俺さ抱いた夢なら 希望なら華を咲かそうよそれが男というものさ明日の幸せさあ 唄おうじゃないかカワイイあの娘に 決

沈丁花 – 大川栄策

きっとおまえは 待っていてくれると今もどこかで 信じてるのさ遠いあの日の ああ 沈丁花…ふたり暮らした 小さな部屋の窓辺にはかなく 咲いていたそばにいるなら 哀

高山の女(ひと) – 大川栄策

浅葱色した 紬が似合うどこか淋しい ひとだったあなたの胸で 死ねたらいいと泣いてすがった 細い指おまえに逢いたい 高山の女妻と呼ばれる 暮らしが欲しい酔って甘え

わかれ恋歌 – 大川栄策

別れた人が 逢いにきたそんな夢みて 目が覚めた真夜中に 水を飲む寝汗につめたい すきま風あゝ さむざむと おんな宿わかれ恋歌 日本海未練はとうに 棄てたはず昔ば

湯の町しぐれ – 大川栄策

ひとり旅路の にが酒よりもさぞや つらかろ 浮かれ酒ひと目逢いたい やつれた肩を抱いてやりたい ネオン花噂 かなしい 湯の町しぐれ好きで添えない さだめの恋を水

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