大川栄策

  • 花ひとつ – 大川栄策

    俺のこころの 最後の恋と決めていたのは 嘘じゃない抱かずじまいの 花ひとつ…おもいだしては 旅路の空に祈る倖せ あゝ…届くなら すがるその瞳(め)を さしだす傘を惚れていりゃこそ ふり捨てたうしろ髪ひく 花ひとつ…どこで夜雨の しずくに濡れて俺を恨んで あゝ…泣くのやら 女ひとりで 淋しくないか今度逢えたら 離さないいまも命の 花ひとつ…風に散るちる 忘れな草に遠い面影 あゝ…また浮かぶ 人気の新…

  • きたみなと – 大川栄策

    風舞う岬に 男がひとり誰に手(た)向ける 雪中歌ふるさと恋しと 訪ねてみれば春は名のみの 日本海なんで今さら 帰ってきたと波が 波が 頬打つ 日暮れ北港 ヤ―レン ソーラン ソーランソーラン ソーラン ソーラン 海鳴りばかりが 咽(むせ)んで泣いて雪になりそな 風の宿しんしんしんみり 地酒に酔えば歌が聞こえる おふくろのあれはカムイか 積丹(しゃこたん)あたり呼べば 呼べば 切ない 夜明け北港 カ…

  • なごり雨 – 大川栄策

    お酒飲んでも 酔えない夜が三日(みっか)つづけば 細(ほそ)る顔なんで今さら 男の嘘を思いだしては 泣きぬれるひとり止まり木 なごり雨 夢を拾って たぐり寄せてもなぜか淋(さみ)しく 逃げてゆく消えたしあわせ 返してほしい戻りたいのよ あの頃に酔えば逢いたい もう一度 雨の降る夜(よ)は こころも濡れて過ぎた月日が よみがえる待てといわれりゃ 死ぬまで待てた夢につづきは ないけれどあなた恋しい な…

  • 浮標の灯よ – 大川栄策

    つま先立ちで 見送るおんな姿切なく 消えてゆく愛のくらしに 想いを残しひとり旅立つ 虚(むな)しさに夜風頬(ほほ)打つ 別れの波止場 涙を堪(こら)える あの眼差しが遠い 思い出 引き戻すついておいでと 言えない辛さ浮標(ブイ)の灯(あか)も 淋(さみ)しげに星降る夜の さだめを濡らす 沈む夕陽が 愛しい影が岬がくれに 遠ざかる港酒場に ネオンの花が咲けば悲しさ 身に沁みて点(とも)す青い灯(ひ)…

  • 泣きむし蛍 – 大川栄策

    一夜(ひとよ)待つ身も 長いのに七夜(ななよ)逢えなきゃ 死んだも同じ私は蛍… 泣きむし蛍昼の最中(さなか)は 人目につくと暮れて夕闇 待ちわびて点(とも)すおんなの 恋あかり 髪を梳(と)かして 紅をひく抱いてください いつものように私は蛍… 一途(いちず)な蛍好きになっては いけない人の腕にすがって なお燃える逢瀬(おうせ)はかない 恋蛍 待って焦がれて 泣き濡れて眠る女の 寂しさつらさ私は蛍…

  • 男泣かせの雨が降る – 大川栄策

    夢に弾(はじ)かれ やけ酒に世渡(よわた)り下手(べた)を 嘆(なげ)く俺陰(かげ)に日向(ひなた)に 尽くしてくれる笑顔絶やさぬ 可愛い女(やつ)よ生きてみようか もう一度あぁ今夜は… 男泣かせの雨が降る 涙こらえて 生きるには温もりほしい 夜もある痩(や)せた肩先 この手に抱けばたとえ小さな 夢でもいいとすがるお前の いじらしさあぁ今夜は… 男泣かせの雨が降る 少し酔ったと 頬(ほほ)染(そ)…

  • 恋の旅路 – 大川栄策

    恋の旅路は 思い出抱いてひとり彷徨(さまよ)う 夜霧の街よ港桟橋 ホテルの灯り添えぬ定めを 呑みこんで煽(あお)る火の酒 沁みる未練の 夜更けの酒場 瞳見つめて 肩抱き寄せて明日(あす)を誓った 海辺の街よ捨てた幸せ うつろな胸に濡(ぬ)れた瞳が 身を責める岬灯台 俺を呼ぶ声 みなとの酒場 募(つの)る想いは 波間に捨てて夢を断ち切り さすらう旅よ仰ぐ夜空に 悲しく浮かぶ君の笑顔が 愛しさが呼べば…

  • 恋の川 – 大川栄策

    ネオン揺らめく 女の川は恋の切なさ 優しく包む命燃やして すべてを捨ててみんな上げたわ 尽くしたわ嘘にすがった 嘘にすがった ああ恋の糸 お前ひとりが おいらの命そんな言葉を 信じて生きた忘れちゃいなと 囁く風が夜の川面を 吹き抜けりゃ心ゆらゆら 心ゆらゆら ああ恋きずな 夢のかけらを グラスに浮かべあなた忍んで 思い出辿る憎い面影 淋しさ胸に煽るお酒に 身を任せいっそ死にたい いっそ死にたい あ…

  • 面影しぐれ – 大川栄策

    風が呼ぶのか おまえの声か知らぬ他国の 夜の雨別れも言えず ただひとり揺れるこころで ここまで来たがうるむ灯りに 思い乱れて 面影しぐれ 添えぬさだめに 悲しく咲いた燃えて儚い 恋の花二人で生きる しあわせはしょせん俺には 見果てぬ夢か路地の屋台で 煽る苦酒 面影しぐれ 酔ってまぎらす 切ない胸に募る未練が 沁みる酒見上げる空に 青い月姿映して その名を呼べば尽きぬ思いに 漏らす溜息 面影しぐれ …

  • かえり花 – 大川栄策

    季節はずれの たんぽぽとそっと指さす 瞳(め)がぬれためぐり逢わせの ふしあわせ逢瀬どれほど かさねたら春に咲けますかあゝ咲けない かえり花 おもいがけない 出合いから女心に 火がついためぐり逢わせの ふしあわせ見えぬ明日の かなしみに黒髪(かみ)もやつれてくあゝふたりは かえり花 ゆうべわたしの あなたでも今朝は他人で かえる人めぐり逢わせの ふしあわせ窓の内から 青空(そら)を見て涙かわかない…

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