夜韻-Yoin-

Seafloor – 夜韻-Yoin-

海の底に 深い海の底に
落ちていく感覚があった
意識が遠退いてった
思い出の中も グラスの中で
溶けていく氷のようだ
言葉では足りないようだ

誰の声も届かない
秒針だけが僕を捕まえて
夜に潜っている 目蓋の裏
誰にも声が響かない
照らしている光でさえも
夜になれば全てが消えていく

宛ても答えも正解も意味も
何もかもが海に沈んでいった
浮き上がって残ったのは
憂いだけだ

記憶の外に 泡になる前に
浮いていく錯角があった
死んでいる魚のようだ
空虚な部屋に 閉じ込められていく
そんな幻覚があった
夢にも痛みがあった

浅い呼吸の中で
深い眠りに落ちていくだけ
ただ、宙を舞っていた
それはまるで暗闇の中で酔ったかのように
何も感じない 何も描けない
この世界に愛なんてなかった
僕は、走馬灯になっていく
蜃気楼のように溶けていく
あゝ 君の言葉が空を泳いだ
思い出すだけで息が溺れていく
そっと、抱きしめて欲しかった
ずっと、触れていたかった
もっと、生きていたかった
もっともっと、生きていたかったのに

海の底に

海の底に 深い海の底に
馴染んでいく感覚があった
意識が遠退いていった
思い出の中で 一人彷徨って
沈んでいく感覚があった
心では足りないようだ

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