城之内早苗

  • こころの手紙 – 城之内早苗

    あの街の あの家にまだ暮らしてる赤い屋根は古くなり おかしいくらいです突然に 一人住まいが始まって涙の鍵が取れたように 何日も泣いたけど 今年も小さな ビオラの蕾がついてあなたの好きな 冬がやがてやって来る いつかまた逢いましょうでももう少しここで頑張るからね 何もかも 迷ってばかりのわたしを笑いながら指先で 頬をつついた人夕暮れの 改札口の向こうからリュックを背負い手を上げる 幻が見えそうで わ…

  • しあわせワルツ – 城之内早苗

    雨のふる日はさみしくておもいだすのよ あなたのmemory時が過ぎれば涙さえ頬にやさしい あの日のmemoryうそで泣かされたけど想いだすのは楽しいことばかりゆらゆら酔って もう一度踊ってください しあわせワルツさめたくちびる こころのすきまあなたに抱かれて しあわせワルツ 誰とあなたはとまり木でグラスかさねる 今夜はjealousyひとりぽっちの唇が火傷しそうな 悲しいjealousy求めあうほ…

  • 越冬つばめ – 城之内早苗

    娘盛りを 無駄にするなと時雨の宿で 背を向ける人報われないと 知りつつ抱かれ飛び立つ鳥を 見送る私季節そむいた 冬のつばめよ吹雪に打たれりゃ 寒かろにヒュルリ ヒュルリララついておいでと 啼いてますヒュルリ ヒュルリララききわけのない 女です 絵に描いたよな 幸せなんて爪の先ほども 望んでませんからめた小指 互いに噛めばあなたと痛み 分けあえますか燃えて燃えつき 冬のつばめよなきがらになるなら そ…

  • あなたで良かった – 城之内早苗

    覚えていますか 出逢った頃をあなたが大人に 見えました私は必死で 背伸びをしてた愛して欲しくて 切なくてあれから何年 経ったのかしら喧嘩もいっぱい したけれどいつでもあなたを 信じて来たわ私が選んだ 人だもの思い出せば 懐かしく涙ちょっぴり にじむけど今さら言えない ことがあるあなたで あなたで良かった あなたのやさしさ 知ってる私誰にもそっけない 人だけど散り行く桜(はな)をふたりで見てた季節の…

  • 恋衣 – 城之内早苗

    夕暮れ時の 人恋しさに吐息(といき) ぽつり もれて見上げる空に はばたく雁(かり)よどこへ どこへ 行く彼岸までに 帰るよと約束かわし 抱いたはず恋なんか 衣替え脱ぎ捨てて やるわ乱れ咲く 曼珠沙華(まんじゅしゃげ)夢が散る 紅くいますぐに 来て 女はいつも 待ってるものと誰が 決めた 言葉信じていても 心が揺れて痩(や)せて 痩せて 行く彼岸過ぎに 忘れますあなたの匂い 熱い胸恋なんか くちび…

  • 愛ひとすじに – 城之内早苗

    ひとりじゃ歩けぬ ぬかるみも肩を寄せ合う あなたが居てくれるいつも陽の射す 道よりも濡れてうれしい 雨もある愛を紡いで 生きるのねひとすじに 私のこころは 一重咲きそっとあなたに 揺れてる白い花どこで暮らそうと ふたりならきっと幸せ 実ります愛を抱きしめ 生きるのねひとすじに うまれて来た理由(わけ) 知りました何があろうと この手を離さないせまい世間が つらくても惚れた背中が 道しるべ愛を尽くし…

  • 夏泊恋歌 – 城之内早苗

    車降りれば 風の群れあなた追いかけ 夏泊何も告げずに 去ることがあなた 選んだ愛ですかたとえ 愚かと言われても愛しぬきたい 愛しぬきたいわたしです 照れるあなたに寄り添ってあの日見上げた 冬の月酔って気ままに くちずさむあれは 津軽の唄ですねあなた 忘れるぐらいならすべて忘れて すべて忘れてしまいたい いつかおまえに 見せたいとあなた言ってた この景色あたり一面 藪椿海をみつめて 咲いてますあなた…

  • 恋のしずく – 城之内早苗

    肩をぬらす 恋のしずく濡れたままでいいの このまま歩きたい きっとからだの 中までしみるわそしてあなたの あなたのことばを忘れないように したいの 頬をぬらす 恋のしずくあなたのせいなのよ 私のためにだけそれはふたりの 愛のしるしねだからやさしい やさしい心をじっとだきしめて いたいの 髪をぬらす 恋のしずくやさしい手が触れると 青空が見えるの そうよあなたは 太陽なのねだから私は 私はいつでもあ…

  • 浮草ぐらし – 城之内早苗

    明日のことさえ わかりはしない他にいいやつ 見つけなと言うしあわせに ああ なれなくたってついてゆきます ねぇ あなた明日の苦労が見えたってついてゆく 無駄にするなよ 二度ない青春を浮草ぐらしと ふと目が笑うしあわせに ああ なれなくたってそっと咲きます ねぇ あなたそばにあなたが いればいいいればいい 肩にすがれば よせよと照れるそんなあなたの 横顔が好きしあわせに ああ なれなくたってついてゆ…

  • 北の旅人 – 城之内早苗

    たどりついたら 岬のはずれ赤い灯が点く ぽつりとひとついまでもあなたを 待ってるといとしい おまえの 呼ぶ声が俺の背中で 潮風になる夜の釧路は 雨になるだろう ふるい酒場で 噂をきいた窓の向こうは 木枯らしまじり半年前まで 居たという泣きぐせ 酒ぐせ 泪ぐせどこへ去ったか 細い影夜の函館 霧がつらすぎる 空でちぎれる あの汽笛さえ泣いて別れる さい果て港いちどはこの手に 抱きしめて泣かせてやりたい…

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