吉澤嘉代子

サービスエリア – 吉澤嘉代子

赤と青に光る幾千もの雨粒が窓をなぞってゆく
行先を告ぐ様に水銀灯は等く浮かんでは消えて
霧を纏う車は光沢を包み隠して誰も乗せてない
暗闇が横切ると冷たい空気が肺をとおり抜けた

やがて誘われる桃源郷
鍵を回す音とともにラヂオが途切れた

恋人たちは遠い星に辿りつき
何時ぞや燃えちる寄るべのない命を煌く
貴方の顔に影が落ちて私の肌に流れるまで
滅びのキスでこの世の息を止めて

傘も無く駆け出した駐車場の波紋を飛びこえてゆけば
自動扉のまばゆさに引きよせられ力つきた夜の羽を見た

まるで明けやらない竜宮城
無人のレジスターだけが出口を知っていた

恋人たちは遠い星に辿りつき
静かな帳に仄めきあう光で囁く
貴方の顔に影が落ちて私の肌に流れるまで
滅びのキスでこの世の息を止めて

貴方の顔に影が落ちて私の肌に流れるまで
滅びのキスでこの世の息を止めて

息を止めて

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未成年の主張 – 吉澤嘉代子

マイクチェック・ワンツーアーアーアーアーアー 始めましょうかこれから言うのは独白だからここだけだからマイクチェック・ワンツーピーピーピーピーピー 自主規制音今だ

泣き虫ジュゴン – 吉澤嘉代子

雨も届かない この海の底珊瑚にからまる 涙の泡122回紡いだ言葉も声にならずにポロポロこぼれた皆をやっかんで突伏して泣いていたよほんとうにずるいのは 誰かのせい

ぶらんこ乗り – 吉澤嘉代子

やまなみが縁を赤らませて 夕日を抱いているころ 出掛けてゆくの天鵞絨のどんちょうがあがれば 花火と銃声を合図にサーカスがはじまるのでしょう軋んだロープに身をゆだ

らりるれりん – 吉澤嘉代子

今夜電話するよと あなたはそう言ったのずっとその言葉に 甘くふやけているのに電話のベルは鳴らない終いにはあれもこれも 電話のベルに聞こえてきちゃうらりるれりん 

恥ずかしい – 吉澤嘉代子

あぁ わたしは恥ずかしいの今とても恥ずかしい ただ恥ずかしいのうぅ わたしは恥ずかしいよ燃えちりたいくらいに あぁ恥ずかしいよ大迷惑をかけた あの日この日が蘇っ

化粧落とし – 吉澤嘉代子

電話がとだえたのは きっと 会うまえに餃子を食べたせいそれとも 恋敵の陰謀かと 悩める私立探偵は うぬぼれ屋いつもかけていたユーミン洒落て車にルージュの伝言残し

ひゅるリメンバー – 吉澤嘉代子

紅はじめた めくるめく秘密の部屋貴方はからかって みぢかいキスを一度したひやりと冷たい 硝子窓にため息ひとりでのぼせて 馬鹿みたいだよ今日は ひゅるりひゅるリメ

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きらいだよ あなたのやさしい言葉だって 勘違いしちゃいそうだもんきらいきらいもすきのうちなんてドキドキさせて からかわないでこれ以上 いじめないできらいだよ あ

涙のイヤリング – 吉澤嘉代子

改札で手を振ってから 今日も連絡はないまたねって言ってくれたのは 優しさだったのね恋するふたりの彫刻も カンナで削られていったすぐに会えますように わざと置いて

ラブラブ – 吉澤嘉代子

ラブラブなのよ わたしはあなたがすきで さようならがきらいまだ帰りたくない でも帰らなきゃ さようならラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブラブハート

チョベリグ – 吉澤嘉代子

まじで cho cho チョベリグ すきよ すきなの きゃわいい あの子まじで cho cho チョベリグ ん~ すきダヨあの子に会うと そくてんしたくなるくる

美少女 – 吉澤嘉代子

恋がしたい 恋がしたい美少女になれたなら鏡よ鏡 うつくしいって何ですかうつりゆく価値観 だれが決めているのぼやいたって朝おきて美少女になっていたら望むのは一つ恋

シーラカンス通り – 吉澤嘉代子

星のあかりぽつんと灯るころ街は目覚め古代魚のよう動きだすシャワーを浴びたなら出掛けなくちゃ赤いハンドバッグ片手にしてあの店で待っている従順な目で待っているこのル

恋愛倶楽部 – 吉澤嘉代子

あなたはいま恋をしていますか恋愛倶楽部は乙女の集いですそんなはり紙を見つけたときから運命の悪戯に嵌っていたのねR・E・N・A・I・C・L・U・B恋愛倶楽部は 放

ちょっとちょうだい – 吉澤嘉代子

一口だけでいいから××××がほしい狡い手口で忍びよる泥棒猫かわいい八重歯に化かされたら大事なものまで盗られるよあなたのケーキをちょっとちょうだいついでに紅茶もち

がらんどう – 吉澤嘉代子

これっきりにしようと決めた心 会うたびに破ってしまう優しい顔で嘘をつけるような ひどい人なのに秘密があるのだ 言ったら消えちゃう秘密ががらんどうな私を満たしてよ

うそつき – 吉澤嘉代子

心に嘘をついたなら 心はぎゅんとふるえて泣くでしょうわたしの心 ごめん 泣くな心を伝えたのなら あなたはどんな顔をして言うかな最後の言葉 きっと さよならなので

ケケケ – 吉澤嘉代子

シェーバー 恋にケケケはいらないそれはどうして ケケケ ケケケ ケケケ悲劇の戦士よ ケケケあなたがすきすき隙間もないほどハートで埋もれているこの瞳は本物よ 信じ

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ここからはもう 大人の世界言い訳きかない 大人の世界見上げてみれば 化け物だらけほんとうの敵は わたしの中にステージからあなたを見つけたときに迷いのないわたしで

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