吉植未央
海を見ていた午後 – 吉植未央
あなたを思い出す この店に来るたび
坂を上って きょうもひとり来てしまった
山手のドルフィンは 静かなレストラン
晴れた午後には 遠く三浦岬も見える
ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった
あの時目の前で 思い切り泣けたら
今頃二人 ここで海を見ていたはず
窓にほほをよせて カモメを追いかける
そんなあなたが 今も見える テーブルごしに
紙ナプキンには インクがにじむから
忘れないでって やっと書いた遠いあの日
あなたを思い出す この店に来るたび
坂を上って きょうもひとり来てしまった
山手のドルフィンは 静かなレストラン
晴れた午後には 遠く三浦岬も見える
ソーダ水の中を 貨物船がとおる
小さなアワも恋のように消えていった
あの時目の前で 思い切り泣けたら
今頃二人 ここで海を見ていたはず
窓にほほをよせて カモメを追いかける
そんなあなたが 今も見える テーブルごしに
紙ナプキンには インクがにじむから
忘れないでって やっと書いた遠いあの日
彼の車に乗って真夏の夜を 走りつづけた彼の車に乗ってさいはての町 私は着いた悲しい出来事が 起こらないように祈りの気持をこめて 見つめあう二人を朝の冷たい海は
湘南ひき潮 砂の中のサンダル賑わった海の家を秋風が消して行く君は水着をバスケットにしまって灼けた肌袖にかくし街へ行くバスに乗る8月の熱い砂が冷えて行く秋に色の褪
君を見つけた この渚に一人たたずみ 思い出す小麦色した 可愛いほほ忘れはしない いつまでも水面走る 白い船長い黒髪 風になびかせ波に向って 叫んでみてももう帰ら
ふたりを 夕やみがつつむ この窓辺にあしたも すばらしいしあわせが くるだろう君の ひとみは星と かがやき恋する この胸は炎と 燃えている大空 そめてゆく夕陽