吉岡秀隆

この街の二人 – 吉岡秀隆

生まれた街を遠く離れ一人暮らしている君だから
やりきれず涙みせるのもわかるけど
僕は生まれたこの街をにらむ君の素直な心が
あきらめそうな僕には必要なんだ
いつか君をやさしく包む両手を
きっとこの街で手に入れてみせるから
君は君のまま心閉ざさないでくれ

僕を求める君の小さな泣き声にすらこの街は
冷たく切れたくちびるのようで
眠れぬ夜に僕を待つ君の冷えきったきゃしゃな体を
いつになればあたためてやれるのか
どうかこの僕に少しだけの勇気と
愛の言葉をわけておくれ夜空よ
この街じゃ寒空に星は見えないけど

遠い空を見上げる君の肩を抱き寄せてみたって
心の中まではのぞけやしないから
ふるさとを思う気持ちがなぜに後悔へと変わるのか
疲れた顔で僕に笑いかける
いつか君の生まれた街へ行くよ
だから今だけはこの灰色に光る街で
二人強くなるまで暮らしてゆこう

いつか君をやさしく包む両手を
きっとこの街で手に入れてみせるから
君は君のまま心閉ざさないでくれ
君は君のまま心閉ざさないでくれ

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