吉井レイン

ピルケース – 吉井レイン

小さなピルケースのようなこのハートに
詰めた切なさの欠片が溢れ出しそう

そのままにしておけないから 一粒また一粒と飲み込んだら
ひとりの夜には苦くて泣けてくるよ

一思い二思い百思い千の夜をも
集めてみても ほんの少しも君には近づけはしない
何より悲しいのは気付かれないことじゃなくて
君への想い 諦め方を忘れてしまうことかも

狭いベッドは今 惨めな隠れ家で
ここにいる限り 誰も私を責めない

シーツの隙間から夜空に一筋の流れ星を見つけたって
まだ願い事を言葉にできそうにない

始まりも終わりも エピソードもない恋は
思い出にさえ変えられもせず胸に留まり続ける

深夜のテレビから 薄っぺらい笑い声たち
この部屋に満ちる静寂に 混じりもせずに消えてしまった

いくつもの小部屋で区切られたピルケースには
不安の横に勇気があって その横には淡い期待

一思い二思い百思い千の夜をも
集めてみても ほんの少しも君には近づけはしない
遠くて泣けてくるよ

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