古川慎

手紙 – 古川慎

桜舞う 道を歩く
二人分 声は軽やか

紫陽花と傘を濡らしては
繋いだ手 ずっと

通りすぎる 鳥居の赤も
カフェのドアも 昨日のように揺蕩ってる
色褪せて いかないで

どんなに 遠くで 夢を描いても
心は 融け合って 海を越えてく
手紙に 書かれた 震える熱を辿って
夏の香りと 確かな想い 綴る

雲高く 影を映す
溶け出した 君のジェラート

茜色 染まる夕暮れに
金木犀をさがして

通り過ぎた 青葉の跡に
佇んでる 言えなかった我儘が
揺らめいて 響いてく

どんなに月日を重ねようとも
心は変わらずに そう願ってる
新しい手紙が 凍える景色を照らす
眠りの淵で 君との日々を

辿り続けた 燈(ちかい)が 消えないように
白い季節 かじかんだ 指が心を 走らせた

どんなに 遠くで 夢を描いても
心は 重なって 海を越えてく
手紙に 綴った 確かな熱は絶えずに

君を待ってる

どんなに月日を重ねようとも
変わらない 温もりで繋がっている
最後の手紙を受け取った 季節が過ぎ
“ただいま”の声 溢れ出す想い達

ずっと側に

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