友部正人

気球に乗って – 友部正人

ありったけの手持ちのゆとりや
ポケットの中のぬくもりを
ひずみきった国々に
ポツンと落としてやるのさ

要なしの人間なんているわけはないと
神様はいつも僕に言うけど
本当のところは口をつぐんで
誰も言おうとしないけど

気球に乗って ほこりになってゆられたい

今ひとつこの気球が昇っていかないのは
僕をおどらせる俗物どもが
足元にしがみついているからさ
胸いっぱい風を集めよう
名もなき同胞が抹殺されて
価値あるブルジョアが生き残るとするなら
真先に死ぬのはこの僕なのさ
僕こそ不必要なものだから

気球に乗って ほこりになってゆられたい

気流に乗って ほこりを捨ててゆられたい

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大阪へやって来た – 友部正人

南へ下る道路には避難民があふれ僕は10トントラックで大阪へやって来たインターチェンジはいつも雨の匂いでいっぱいだから僕はやせながらぬれて立つそれはほんのささいな

夜よ、明けるな – 友部正人

だが 君は帰って来ない夜道をぼくは帰ってきたのに君の窓明かりは消えたままさ月はあんなに明るいのに町は居留守を使ってる呼んでも君は答えない疑問は頭から抜け出して路

一本道 – 友部正人

ふと後をふり返るとそこには夕焼けがありました本当に何年ぶりのことそこには夕焼けがありましたあれからどの位たったのかあれからどの位たったのかひとつ足を踏み出すごと

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