千葉山貴公

奴凧 – 千葉山貴公

風が吹いていた 昭和も終わりに近いころ
なごりの追風 吹いていた
小さな原っぱひしめきあって 男達は無我夢中
夢と云う名の奴凧 天を仰いで揚げていた

凧 凧 揚がれ 天まで揚がれ
妻や子を顧みず
俺も 俺もあのころは
やっぱり奴凧 揚げていたよ

今は吹き曝し 昭和の時代も過去になり
千切れた思い出 吹き曝し
乾いた原っぱ昔を偲び 星も消えた空を見る
夢と云う名の奴凧 どこか遠くへ飛んでった

凧 凧 揚がれ 天まで揚がれ
ほろ苦い酒を飲み
俺は 俺はこっそりと
心に奴凧 揚げてみたよ

凧 凧 揚がれ 天まで揚がれ
妻や子を愛しつつ
俺は 俺は明日もまた
希望の奴凧 揚げて生きる

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