千葉一夫

  • 連理の花 – 千葉一夫

    ついておいでよ はぐれぬように過ぎた昨日は 振り向かないで日暮れ淋しい 北風道をひとり歩いて 来たんだね今日を限りに 泣かせはしないふたり咲かそう 連理の花を 薄い日差しの この街だけどここで暮らすと つぶやくおまえ俺とおまえは ふたりでひとり何も言うなよ 目でわかる同じ傷みを 分け合いながら花を咲かそう 連理の枝に 雨の降る日は 相合傘で晴れを待とうよ 肩寄せ合って雨も上がれば 七色虹が明日の倖…

  • いつか再会たら – 千葉一夫

    君を傷つけた この俺だけど今はとても悔んでいるんだ何故か今夜は 酔えなくていつもの店で ひとり飲む忘れられない あの日の君は小雨の中にたたずんでふるえていたね 遠くで霧笛が 哭いているようなそんなせつない夜が身をせめるいつかひとりで 彷徨(さまよ)えば見上げる空に 流れ星あれは夢だろか 遠いまぼろし胸の隙間にしみてくる夜更けの風よ 二人暮した この都会(まち)に季節の花が 風に舞ういつか再会(あえ…

  • 出雲路ひとり – 千葉一夫

    独り旅なら 気兼ねもなしに松江 椿の 城下町水の都の 風なつかしく男の錆を 洗うよにしとしと降る雨 縁雫(えにしずく)さすらいの…さすらいの出雲路ひとり 潮の香りを 背にうけながら歩く宍道湖(しんじこ) 旅のやどしじみ獲りする 朝もやの中長竿じょれん 青墨絵夕日は茜々(あかあか) 影染めてさすらいの…さすらいの出雲路ひとり 島根半島 この目に焼いて右に夕凪 日本海心ぬくめる 出雲の祈り一畑(いちば…

  • 望郷津軽 – 千葉一夫

    ナラ枯れの 山間(やまあい)に汽笛を一つ おいてゆく津軽地吹雪 地を這(は)う夜はバチを叩けば 三味が鳴くいまも逢いたい 人がいるイヤー イデヤ ヤーイー 望郷津軽 結びあう 指と指かならず帰る 故郷へ津軽訛りを おり込む節(ふし)が忘れられない 今もなお山が閉まれば 冬支度イヤー イデヤ ヤーイー 望郷よされ 冬ざれの 岩木川涙をのんだ いく曲がり雪がふるふる 季節が止まるあなたあなたに 逢えた…

  • さくら路 – 千葉一夫

    二人の行く手を 遮(さえぎ)るように桜の花びら 舞い落ちるいつか噂に なった恋二度とは戻れぬ ふるさとよ肩を優しく 抱き寄せるおまえと おまえと 離れずに 世間の風さえ 冷たく沁みる悔やんでいないか この恋を俺と出会って いなければ普通の暮らしが あったのに詫びて足りない 今さらにおまえと おまえと どこまでも 舞い散る花びら 両手で受けて微笑むおまえの いじらしさそっと身を寄せ 二人して暮らせる…

  • かすみ草 – 千葉一夫

    ひとりで旅立つ 別れのつらさわかっていたのに さいはての町小さな酒場の 花飾りかすみ草 かすみ草どこかおまえの 笑顔のような温もりこぼれる 白い花 寄り添いささえる この花に似て暮らしてゆけたら 倖せですと云ってた言葉が 身を責めるかすみ草 かすみ草誰を待つのか あの角部屋で愛しい面影 また浮かぶ 詫びてもすまない この俺だけどあの日のふたりに 戻れるのならおまえを二度とは 離さないかすみ草 かす…

  • ふるさと帰行 – 千葉一夫

    入江づたいに 東へ走る俺が夢見た ふるさと列車瞼閉じれば ひと駅ごとに母の 母の母の笑顔が 浮かんでくるよ逸(はや)るこころの ふるさと帰行 昔ながらの 途中の駅で耳になつかし 田舎(ふるさと)なまり都会暮らしも 幾年(いくとせ)過ぎて友と 友と友と遊んだ 幼い頃を思い出します ふるさと帰行 汽車の窓辺を 夕日が染めて遠くまたたく ふるさと灯り秋の祭りも もうすぐ近い白く 白く白く並んだ 昇りの旗…

  • この世にひとつ 愛の花 – 千葉一夫

    雨にうたれて 世間にすねてやけをおこして 夜風に泣いたいくじなしねと あのときおれのおれのめをみて 叱ってくれたありがとう すまないねおまえはおれの おまえはおれのこの世にひとつの 愛の花 一つ二つの かなしい過去(きず)はみんなあるだろう 生きてるかぎりつらいときには 黙っておれのおれの背中を ささえてくれるありがとう おかげさまおまえはおれの おまえはおれのこの世にひとつの 愛の花 人は厳しい…

  • 明日に一歩また一歩 – 千葉一夫

    おまえを愛した 想い出にかわれるものなど 何もない雪がとけ 岸辺の葦(あし)が芽吹いても風はまだ肌寒く 春は遠すぎる明日に一歩また一歩 いつの日か夢を語れる 日がまた来るさ 都会に行っても この町にかならず帰ると 誓った日青い海 おまえと眺め飲み干した缶ビールめちゃウマで 忘れられないよ明日に一歩また一歩 いつの日か夢を語れる 日がまた来るさ こころの底から 惚れ合ってしあわせなろうと がんばった…

  • 別れのグラス – 千葉一夫

    愛してみても 月日がたてばいつしか心が すれ違いおまえの淋しさ 知りながら失くしていたよ 優しさを今日が最後の 夜だからせめてひと時 別れのグラス 二人で買った 鉢植えの花腕組み歩いた 並木道氷の隙間に ゆらゆらと思い出ばかり また浮かぶ離さないよと 言ったのにごめんよごめんよ 別れのグラス 互いの心 傷つけるだけ二人がこのまま 暮らしても涙に潤んだ 横顔がせつなく揺れる この胸に薄い灯りの カウ…

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