北嶋鉄之助

涙なんぞは – 北嶋鉄之助

山の木立ちに たそがれせまりゃ
ほほにあかねの 夕焼け小焼け
ロシヤ娘の えくぼが浮ぶ
ヤポンスキーは駄目よとあの目
俺ら恋しい 銀座のあの娘

山の部落に 灯がともりゃ
たきびかこんで 楽しい夕食
恋し故郷の 話がはづむ
明日はウラジオあの山越えて
俺らかり寝の シベリア暮らし

山の湖水に 七ツの星が
映りゃ唄う 口笛鳴らし
友よ行かうよ スクラム組んで
遠くシベリア広野のはてに
涙なんぞは 俺らにゃ毒よ

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古茂山哀歌 – 北嶋鉄之助

山なみせまる北鮮の古茂山川原に石掘りて結びし幕舎露重し仰ぐ下弦の月あおし千萬の敵恐れざる百戦錬磨の兵もみことの命に鉾ふせて身は抑留のわびじまい思えば遠く故郷をは

帰還の日まで – 北嶋鉄之助

海をへだてて はるばると他国に結ぶ夢のかずぐっとこらえて帰るまでさびしいでしょうがお母さんシベリア風の 吹く野辺にたとえ病む日のあればとてぐっとこらえて帰るまで

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