北原由紀

裏町川 – 北原由紀

すがるこの手を 振り切るように
淋しく消えた うしろ影
さだめを恨んで 風も泣く
裏町川の この橋は
越えて行けない 渡れない

いつか覚えた お酒の味も
ひとりで飲めば ほろ苦い
離しはしないと 言ったのに
裏町川よ あのひとの
胸で酔いたい もういちど

夜が来たなら 蛍のような
灯りの群れが 水遊び
心の悲しみ 流したら
裏町川よ 幸せの
夢を運んで 私にも

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