北原ミレイ

ベネチアの雪 – 北原ミレイ

早いものね あれから二年
駅のベンチは 雨に色褪せて
馴染みにしてた 近くのお店も
すっかり影を なくしたわ
ベネチアめぐる 石畳
想い出たどり ゆくけれど
異国の街に 舞い散る雪は
寒さをくれるばかりよ
愛を激しく 燃やしたあの日
それは遠い 過去のこと
最後のイブを 過ごした街を
ひとり 訪ねています

旅の途中 あなたと出会い
そしてこの地で 愛しあったのね
運河のほとり 降る雪見つめて
あなたの面影(かげ)を 偲びます
リアルト橋に たたずめば
ゴンドラかすめ 鳥が往く
雲の切れ間に 探してほしい
明日を照らす光りを
きまっていつも サインかざして
笑いかける その仕草
変わらぬままの あなたが今も
胸に 浮かんできます

幾千粒の 涙のように
雪は何処へ 消え去るの
冷たく白く 輝きながら
今も 降り注ぐだけ

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