大河のほとり駒とめて誰に贈らんすべもなく涙に摘みし螢草夕月細く旅遠し広野の涯に在りという幸福(さち)を尋ねて若き日を時雨にうたれ風に泣き辿りし旅路幾歳ぞ鳥啼く谷に日を暮らし星の渚に眠れども幸福(さち)は我身にめぐり来ずこよいも更けて鐘が鳴る可愛いの駒と労(いたわ)れば駒も悲しく嘶(いなな)きて涙に摘みし螢草手綱にあわれほろり散る