伊奈かっぺい

海に降る雪 – 伊奈かっぺい

海に降る雪 かわいそうだと思うよ
海に降る雪 さびしそうだと思うよ
ひとときも 積もることなく 溶けてゆく
せめて せめて 海の上から
せめて せめて 連絡船の窓から
みつめていたいと思ったよ
海に降る雪 いとおしいと思ったよ

海に漂う カモメの背中に
積もり降る雪 つかのまの幸せ
舞い踊り 舞いあがり 飛んでゆく
今は 今は 波の間(ま)に 間(ま)に
今は 今は 遠く離れた隣町
思い出 揺られているんだね
海に降る雪 なつかしいと思ったよ

海に降る雪 きのうと違うよ
海に降る雪 きょうから違うよ
幾年も 休むことなく 生きてきた
だから だから 閉じた瞳で
だから だから 連絡船の汽笛を
聞いていたいと思ったよ
海に降る雪 思い出に 積もったよ

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