二見颯一

雪の渡り鳥 – 二見颯一

合羽からげて 三度笠
どこを塒(ねぐら)の 渡り鳥
愚痴じゃなけれど この俺にゃ
帰る瀬もない
伊豆の下田の 灯が恋し

意地に生きるが 男だと
胸にきかせて 旅ぐらし
三月三年 今もなお
思い切れずに
残る未練が 泣いている

払い除(の)けても 降りかかる
何を恨みの 雪しぐれ
俺も鯉名の 銀平さ
抜くか長脇差(ながどす)
ぬけば白刃に 血の吹雪

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哀愁峠 – 二見颯一

背のびしたって 高千穂はなんで見えようか 都会から夢を鞄に 詰め込んで故郷(くに)を出てから もう五年帰りたい帰りたい まだ帰れない日向 鹿川(ししがわ) 哀愁

望郷ギター – 二見颯一

夕焼けが 沁みる日はふるさとが近くなる 近くなるあの娘は達者か どうしているかきっと帰ると…きっと帰ると 云ったきりおもいでつま弾く 望郷ギター忘れない 村の駅

刈干恋歌 – 二見颯一

山がョ山がョ 山が呼んでる刈干の朝も早よから 萱(かや)を刈る何が辛かろ 野良仕事あの娘を浮かべて 精を出す無理は云わぬが 無理は云わぬが 帰らぬかどこへ流れる

望郷終列車 – 二見颯一

夢を道連れ プラットホームひとり故郷(ふるさと) 後にした母の母の 母のやさしい 手紙の文字にむせび泣きした 十九の旅路あの春恋しや 望郷終列車花もはじらう あ

別れの一本杉 – 二見颯一

泣けた 泣けたこらえ切れずに 泣けたっけあの娘(こ)と別れた 哀しさに山の懸巣(かけす)も 啼いていた一本杉の石の地蔵さんのヨー 村はずれ遠い 遠い思い出しても

若竹 – 二見颯一

空の青さに あこがれて竹は真っすぐ 伸びてゆく雨に何度も 叩かれながら背伸びするのが 青春だ俺は若竹 ありったけ 挑むだけ竹に雀の 仲だったあの娘(こ)移り気 

母恋しぐれ – 二見颯一

ひとり夜更けの 燗冷まし手酌で乾したら 鳴く汽笛遠い故郷(ふるさと) 母さんへ書いた手紙も 出せずに二年つらいこの胸 叩くな雨よ窓辺に降ります 母恋しぐれ星がま

修善寺の夜 – 二見颯一

姿隠して 鳴く山鳩よ誰を恋しと 鳴くのやら君故に 今もなお忘れられない 面影を浮かべてひとり 修善寺の夜吹いてみたとて 草笛悲し届くはずない 天城山(あまぎさん

ところがギッチョン恋之介 – 二見颯一

恋にツボミが あるならば咲かせてみせましょ 恋の花手塩にかけて 水かけて情けをかければ 花が咲く男と女の 掛け算も…“ところがギッチョン恋之介”弱気が裏目の ひ

達者でナ – 二見颯一

わらにまみれてヨー 育てた栗毛きょうは買われてヨー 町へ行くアーアーオーラ オーラ 達者でナオーラ オーラ かぜひくなあゝかぜひくな離す手綱が ふるえふるえるぜ

昭和恋月夜 – 二見颯一

塵(ちり)にまみれた 昭和の幻(ゆめ)と他人(ひと)が笑おうと 気にしない意地ひとつ 道ひとつ 貫きとおすついて来いとは 言えずにひとり見上げる 昭和の恋月夜頑

星影のワルツ – 二見颯一

別れることは つらいけど仕方がないんだ 君のため別れに星影の ワルツを歌おう冷たい心じゃ ないんだよ冷たい心じゃ ないんだよ今でも好きだ 死ぬほどに一緒になれる

湯の町エレジー – 二見颯一

伊豆の山々 月あわく灯りにむせぶ 湯のけむりああ 初恋の君をたずねて 今宵またギター爪弾(つまび)く 旅の鳥風のたよりに 聞く君は温泉(いでゆ)の町の 人の妻あ

大江戸辻売り小唄 – 二見颯一

「てェへんだ~ てェへんだ~」聞いておくんな 見てくんな瓦版(かわらばん)なら このオイラそこの旦那に 女将さんこいつ読まなきゃ 大損だ エー大損だお江戸 八百

古城 – 二見颯一

松風さわぐ 丘の上古城よ独(ひと)り 何偲ぶ栄華の夢を 胸に追いあゝ 仰げば侘(わび)し 天守閣崩れしままの 石垣に哀れを誘う 病葉(わくらば)や矢弾(やだま)

夢情の酒 – 二見颯一

忘れた昔に 灯りを入れてひとり呑んでる 駅裏酒場憂さを注ぎたす 俺の手を止めたあの指 あの涙やけにチラつく やけにチラつく今夜の酒だ小雨の屋台で 肩寄せふたり生

ごめんよ – 二見颯一

一目でいいから 逢いたくて夜汽車を乗り継ぎ 来たと言う君のふるえる 黒髪を抱けば広がる 故郷(こきょう)の香りお願い お願い もう泣かないでごめんよ ごめんよ 

放浪のはて – 二見颯一

夕陽が沈んだ 山の端(は)に泣いているよな 月が出る明日(あす)の行方(ゆくえ)も わからぬままに夢にさすらう この命心をよぎるは 故郷(ふるさと)の野辺(のべ

木曽の峠 – 二見颯一

木曽の峠は やまびこ峠夢を追いかけ 旅立つ背(せな)に励ます親父(おやじ)の 声がする山の仕事の 苦労はいつも御岳(おんたけ)さんが 御岳さんが 見てござる木曽

0時の終列車 – 二見颯一

見送らないでと 君は言ったけどやっぱりもう一度 逢いたくて…雪のベンチで ふるえる肩を抱いたぬくもり 忘れない恋が行く 恋が行く 儚(はかな)い恋が行く午前0時

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