中島みゆき

歌うことが許されなければ – 中島みゆき

歌うことが許されなければ
歌うことが許されなければ

誰か わたしの腕の中から隠したの
古い古い物語
風が わたしの腕の中から飛ばしたの
編みかけてた物語

もの言わぬ魚さえ 歌いたい 波に紛れて
もの言わぬ枝でさえ 歌いたい 夜に紛れて
繰り返される戦いの日々
言葉は閉じこめられてゆく

わたしの心は風の中
本当の心は風の中
何度でも編みなおす物語
歌うことが許されなければ わたしは何処(どこ)へゆこう
歌うことが許されなければ わたしは何処(どこ)へゆこう

息をひそませて降る 雨の音
羊たちだけが耳を傾ける
息をひそませて鳴く 虫の声
今宵を限りと謳(うた)う 命懸(いのちが)け

遠い星の数え方 夜啼(な)き鳥が教えてくれる
遠い国の掛詞(かけことば) 渡り鳥が教えてくれる
そびえる山に爪は立たない
言葉は振り払われてゆく

わたしの願いは風の中
本当の願いは風の中
何処(どこ)へでも旅をゆく物語
歌うことが許されなければ わたしは何処(どこ)へゆこう
歌うことが許されなければ わたしは何処(どこ)へゆこう
わたしは何処(どこ)へゆこう

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