中山うり

  • Swimming – 中山うり

    魚になって深く潜ろう悲しいことは忘れられるよ じわじわと体中の熱が逃げてゆくキラキラと手のひらから魔法がとける 風に飛ばされた古いアンテナ途切れたニュース頭の中でささやく声も泡になって消えた 淡い記憶すくいあげては指の隙間からこぼれてく優しい色 さよならしなきゃ 遠くへswimming swimming swimming青に染まるまでswimming深くswimming swimming swim…

  • くらげ – 中山うり

    もしかしてのぼせてるの?シワシワの指と指ふれあい笑う立ちのぼる湯気の中で融け合えばそこは宇宙戻れやしない誰も来ない 浮かぶ僕らは恋するくらげ天井から落ちるしずくを数えながら踊る僕らは恋するくらげ毒がまわるように隣で夢をみようさめないうちに 汚れた手 汚れた顔ふやけてく思い出をシャワーで流すさみしさの向こう側へ来たみたい意味のない時間が愛しい今はきっと 浮かぶ僕らは旅するくらげ退屈におびえて星くず数…

  • メロンソーダのさくらんぼ – 中山うり

    泡の中で浮かんでる メロンソーダのさくらんぼ毎日こんな風に君がとなりにいるから大体いつも同じようなことを話して笑ってるアイスクリームがとけてゆく 最近なんだか君は変わった友達やシャンプーも前とは違ってるみたい毎日サンダルはいて君とふらふらするだけあついあついって言いながら僕たちすっかりまっくろけもう何度目の夏だろう 遠くの空で稲光り君は頬杖ついて降り出した雨を見つめてたさみしそうに そういえば二人…

  • 風邪薬 – 中山うり

    風邪ひいて 横になってろくでもないこと考えて窓にのこる雨の筋が少しかなしくさせるのです ベッドの中 バターのように情けなく溶けてゆくからだ忘れた顔 いくつもあるやっぱりもう思い出せない ああ 気持ちがいいもんだ 許せないと苦しくなるだんだんひとりに慣れてゆくオリオン座を抜けてゆく宇宙飛行士の夢をみる 動けない 声が出ない母の声が遠くきこえる七色のビー玉がいくつも坂を転がっていく ああ 気持ちがいい…

  • 茶をすする – 中山うり

    何もしなくても腹は減り何もしなくても夜はくる君がいなくても風は吹き君がいなくても朝はくる 何もしなくても髪はのび何もしなくてもあくびはでる君がいなくても僕は笑い君がいなくても僕はうたう スースースルスル 茶をすするスースースルスル 茶をすする 何もしなくても爪は伸び冬の窓辺に雨が降る君がいなくても湯をわかし僕のギターは泣いている 何もしなくても雨はあがり春の窓辺に花が咲く雲までのびた髪を切り用もな…

  • 月の爆撃機 – 中山うり

    ここから一歩も通さない理屈も法律も通さない誰の声も届かない友達も恋人も入れない手掛かりになるのは薄い月明り あれは伝説の爆撃機この街もそろそろ危ないぜどんな風に逃げようかすべては幻と笑おうか手掛かりになるのは薄い月明り 僕は今コクピットの中にいて白い月の真ん中の黒い影 錆びついたコクピットの中にいる白い月の真ん中の黒い影 いつでもまっすぐ歩けるか湖にドボンかもしれないぜ誰かに相談してみても僕らの行…

  • おそい光 – 中山うり

    アタリついた ああ アイスの棒かじったままひとつもない雲 このままずっと季節を止めたいな コンクリート うつる影ふたつああ しらけてしまわないように歌い出す 汚したシャツ ああ 味のしないアイスの棒僕らは楽しくやるだけさ太陽におどるサボテン もう何日も ああ クモの巣にからまったまま帰れないね でも 僕らはきっと間違っちゃいないよ コンクリート うつる影ふたつ今どんな時代生きてるの?ふと思う 焦げ…

  • 大佐 – 中山うり

    あいつの名前は誰もわからない月に照らされた男の口ひげつぶらな瞳に髪がかかりそうで細く哀しげな声で鳴いた いつしか男は街で一番のきれいな娘のハートをつかんだささやかに祝う 冷たい鼻と鼻で確かめ合うのさ 言葉もなく 薔薇色の日々は まぶしく過ぎゆく腹は減るけれど ふたり一緒ならトタン屋根の上 小さな幸せをただ身を寄せ合い あたためて 明日も晴れますようにおやすみ おやすみ 雨上がりの空 見上げて目を細…

  • マドロス横丁 – 中山うり

    潮風つめたい 扉を開けると酒場グラスを合わせる音が 夜明けまで響いてる忘れないでいてね メランコリック恋の歌今夜は弾き続けるわアコーディオン汽笛が鳴る 乾杯だ 踊れマドロス横丁 飲み明かそう笑い声あふれる浮かれる街今度はいつまた会えるのかしら野良犬があくびしてる 灯りが点れば 楽しい宴の合図男は海を語るよ 腕の錨をみせる枯葉が舞う頃に 口笛吹いて去ってゆく明日になればみんな波また波思い出にさらわれ…

  • カゲロウガール – 中山うり

    空にあめ色のフィルム広げたあの日の君はわたしながい水曜日 にじんだ絵の具遠まわりした帰り道 君のアサガオだって明日はひらくよ 遠ざかる背中追いかけた君はかげろうきれぎれの雲はどこへいくのか 魔法詰め込んだ茶色の小瓶夢の間に逃げた君の唇をはなれたうたが螺旋えがいてここにきた くるりと砂埃 スカートまわるよ 雨上がり くたびれて泣いた君はかげろうきれぎれの雲は流れて消えた 遠ざかる背中追いかけた君はか…

Back to top button