上原敏

妻恋道中 – 上原敏

好いた女房に 三行り半を
投げて長脇差 永の旅
怨むまいぞえ 俺等のことは
またの浮世で 逢うまでは

惚れていながら 惚れない素振り
それがやくざの 恋とやら
二度と添うまい 街道がらす
阿呆阿呆で 旅ぐらし

泣いてなるかと 心に誓や
誓う矢先に またほろり
馬鹿を承知の 俺等の胸を
何故に泣かすか 今朝の風

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鴛鴦道中 – 上原敏

堅気育ちも 重なる旅にいつかはずれて 無宿者知らぬ他国の たそがれ時は俺も泣きたい ことばかり染まぬはなしに 故郷をとんで娘ざかりを 茶屋ぐらし茶碗酒なら 負け

流転 – 上原敏

男命を みすじの糸にかけて三七(さんしち) 二十一(さいのめ)くずれ浮世かるたの 浮世かるたの浮沈みどうせ一度は あの世とやらへ落ちて流れて 行く身じゃないか鳴

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