三宅由佳莉

木綿のハンカチーフ – 三宅由佳莉

恋人よ 僕は旅立つ
東へと 向う列車で
はなやいだ街で
君への贈り物
探す 探すつもりだ

いいえ あなた私は
欲しいものはないのよ
ただ都会の絵の具に
染まらないで帰って
染まらないで帰って

恋人よ 半年が過ぎ
逢えないが泣かないでくれ
都会で流行の
指輪を送るよ
君に 君に似合うはずだ

いいえ 星のダイヤも
海に眠る真珠も
きっと あなたのキスほど
きらめくはずないもの
きらめくはずないもの

恋人よ いまも素顔で
口紅もつけないままか
見間違うような
スーツ着たぼくの
写真 写真を見てくれ

いいえ 草にねころぶ
あなたが好きだったの
でも木枯しのビル街
からだに気をつけてね
からだに気をつけてね

恋人よ 君を忘れて
変わってくぼくを許して
毎日 愉快に
過ごす街角
ぼくは ぼくは帰れない

あなた最後のわがまま
贈りものをねだるわ
ねぇ 涙拭く木綿の
ハンカチーフ下さい
ハンカチーフ下さい

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