三上寛

なんてひどい唄なんだ – 三上寛

風はデタラメに吹いていた
乾いたサルマタが青空にはためいて
カツ丼はさらにさらに重く運ばれてきた
ああ ああ ああ
なんてみっともない
なんて訳のわからない夕暮れなんだ
ああ ああ ああ
なんて訳のわからない夕暮れなんだ

空はだらしなく晴れていた
人たちは皆 性格の不一致で別れ
使われたコンドームを捜しに行くのさ
ああ ああ ああ
なんて、なんてみっともない人類の平和なんだ
ああ ああ ああ
なんてみっともない人類の平和なんだ

星はくだらなく輝いていて
百点満点の太陽はあいかわらずの健康で
花のキャバレーで恋をするだろう
ああ ああ ああ
なんてふざけた夜なんだ
ああ ああ ああ
なんて、なんてふざけた夜なんだ

天気予報は今日もまた本気になって
青筋たてた冗談をくり返す
雪なんか降らせやがって
死にたがる奴をくすぐるのさ
ああ ああ ああ
なんて悲しいオカマの誘いなんだ
ああ ああ ああ
なんて悲しいオカマの誘いなんだ

花は間の抜けた咲き方をして
人並に色なんかつけやがって
安らぎなんかあたえちゃって
結婚式にはリボンを飾るのさ
ああ ああ ああ
なんてバカバカしい美しさなんだ
ああ ああ ああ
なんて、なんてバカバカしい美しさなんだ

思い出は標準語でやってきた
絶望的な痛さから逃れるために
親不知を引き抜いた
オートバイのように幾何学で爆発しちまったよ
ああ ああ ああ
なんてみっともないクタバリ方なんだ
ああ ああ ああ
なんてみっともない
なんていいかげんなクタバリ方なんだ

おれはたまたまここにいる
偶然こうして立っている
夜霧はおれを苦しめて
ギターはおれの心の友さ
ああ ああ ああ
なんていいかげんななんて見えすいた嘘なんだ
なんていいかげんな唄なんだ
ああ ああ ああ
なんて、なんて、なんてひどい唄なんだ
なんて、なんて、なんてひどい唄なんだ

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