ヨルシカ

八月、某、月明かり – ヨルシカ

何もいらない

心臓が煩かった 歩くたび息が詰まった
初めてバイトを逃げ出した
音楽も生活も、もうどうでもよかった
ただ気に食わないものばかりが増えた

八月某、月明かり、自転車で飛んで
東伏見の高架橋、小平、富士見通りと商店街
夜風が鼻を擽ぐった この胸の痛みは気のせいだ
わかってた わかった振りをした

最低だ 最低だ
僕の全部最低だ
君を形に残したかった
想い出になんてしてやるもんか

最低だ 最低だ
気持ちよくて仕方がないわ
最低だってこの歌詞自体が

人生、二十七で死ねるならロックンロールは僕を救った
考えるのも辞めだ!どうせ死ぬんだから
君も、何もいらない

心臓が煩かった
笑うほど喉が渇いた
初めて心を売り出した
狭心もプライドも、もうどうでもよかった
気に食わない奴にも頭を下げた

八月某、あの頃の景色を跨いだ
ストックホルムの露天商、キルナ、ガムラスタンは石畳
君だけを胸に仕舞った
この空の青さも気の所為だ
笑ってた、笑った顔のまま

最低だ 傲慢だ 君もみんな貪欲だ
ドラマチックな歌も愛もさぁ、馬鹿らしくて仕方がないわ
知っていた 知っていた
君の人生、君のものだ
最低だっていくら叫ぼうが

そうだ、きっとそうだ
あの世ではロックンロールが流れてるんだ
賛美歌とか流行らない
神様がいないんだから
罪も過ちも犯罪も自殺も戦争もマイノリティも全部知らない

最低だ 最低だ 別れなんて傲慢だ
君の全てに頷きたいんだ
そんなの欺瞞と同じだ、エルマ

最低だ 最低だ 愛おしくて仕方がないわ
ドラマチックな夜で僕を悼みたい

最低だ 最低だ 言葉なんて冗長だ
君の人生は月明かりだ
有りがちだなんて言わせるものか

最低だ 最低だ 笑われたって仕方がないわ
最低なんて語呂だけの歌詞だ

人生、二十七で死ねるならロックンロールは僕を救った
考えるのも辞めだ!どうせ死ぬんだから

今も、愛も、過去も、夢も、思い出も、鼻歌も、薄い目も、夜霞も、
優しさも、苦しさも、花房も、憂鬱も、あの夏も、この歌も、
偽善も、夜風も、嘘も、君も、僕も、青天井も、何もいらない

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