ヤなことそっとミュート

雨の栞 – ヤなことそっとミュート

例えば
風の強い午後 君と出会うよ
一瞬の時雨どき
ふたりの物語の はじまりを

例えば
長雨のいい静寂を 聞こう
一瞬の表情に ふたりは悟っただろう
目前の結末を 見送ろう

あるいは 雨が降り
ふたりは 違う理由に濡れてた
臆病にも 僕は
それでいいと思った
雨上がり 見上げて
君が言おうとしたことは
ああ わかってるから

思えば
交わした言葉はとても少ないよ
うなずいて 目が合えば
それだけで十分だと
孤独を 持ち寄ってみせた
綴じ込めて 雲間に挟む 栞にした

ときには 雨ざらし
ふたりは 寒さに手を取り合った
その温もりは
この手に凍えた
雨上がり あの空
君は伝えようとしてた
ああ 気づいてたのに

とまどう 雨上がりに 濡れた頬
一瞬の静寂に 僕らは悟っただろう
この先を

新しい風が吹く
季節はとうに移ろっていたんだ
ふと目があった
どうしていいか迷った
雨上がり 見上げた
言葉もなく ただ見ていた
ああ わかってたから
僕と君は

例えば
風の強い午後 君と

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