バラーズ
海の風 – バラーズ
いくつもの さざ波をつれて
とどめなく吹き寄せるこの潮風は
あの大きな岩壁のために吹いているけれど
風はただ岩壁のために吹いているけれど
ひとり夜ふけにふと目をさまし
静まった人影ないくらやみの中で
冷たさとむなしさにたえるすべもなく
私はただ身をまかすだけ
風に身をまかすだけ
むこうの小高い丘の上で
いちぢくの葉は今風に吹かれて
そよそよとここち良さそうにゆれているけれど
風はただふるえている様なこの冷たさに
あの大きな岩壁のために吹いているけれど
風はただ岩壁のために吹いているけれど