ハチ

  • 結んで開いて羅刹と骸 – ハチ

    片足無くした猫が笑う「其処行く御嬢さん遊びましょ」首輪に繋がる赤い紐は片足の代わりになっちゃいない や や や や 嫌 嫌 嫌 列成す卒塔婆の群れが歌う「其処行く御嬢さん踊りましょ」足元密かに咲いた花はしかめっ面しては愚痴ってる 腹を見せた鯉幟孕んだのは髑髏 やい やい 遊びに行こうかやい やい 笑えや笑えらい らい むすんでひらいてらい らい 羅刹と骸 一つ二つ三つで また開いて五つ六つ七つで …

  • 白痴 – ハチ

    明かりのない部屋に二人 割れた鏡碧い目の魚 アルコールの匂いだけ 七日後の朝に目覚める様に 時計をコーヒードリップ 溺れ 揺れるスプーンの頭 傷が癒えずにどうしようか二人笑いながら もうこんな素敵な世界なのにさなんでだろうね 約束しようよこの狭い地下牢で密やかに誓うのは何でもない様に死んでしまった二人の細やかな夢と逃避 君が上手く飲み込めなくて私の両手に吐き出して残念そうに二人で笑うの「もう一度だ…

  • 遊園市街 – ハチ

    夜の底 海に落ちた碧い影が ふらついて街灯が垂らした涎 捨てられた街の中で 下らない嘘で笑わない?間違いさえも 無いようにメリーゴーラウンド 溶けてくバニラ埃塗れの兎達 もう動かない 観覧車その中で君は泣いた吐き出しそうに歌っている空が溶けだすその前に ねえ 嘘みたい? 弾ける灯きっと頑丈に捩じ込んで呟いて 息を吐いてレールの上を歩いていく 蛙の目 塔に並んだ亡霊の歌に 飛び込んだなんでもいい、と…

  • 眩暈電話 – ハチ

    電話のベルが鳴りだして尚 何もない部屋受話器を伝う誰かの声が言葉を呼んだ 「もしもし、あと三時間だよ。君はどうする?」 そんなあなたと話がしたいな些細な事 教えておくれよ二人繋いでる 眩暈はスピカずっと待っていたんだから 裸のポプラ 焦げた瓶底 五月の終わり碧い雨降り 塗り潰された 朧気な歌 「もういいよ」隠れんぼの途中 呼吸を止めて「もしもし、あと一時間だよ 君はどうする?」 そんなあなたの名前…

  • 沙上の夢喰い少女 – ハチ

    ブーゲンビリアの花が咲いた給水塔の上で迷い星を探している皺枯れの空まで 居場所が無い絵本も無いコウノトリは赤ん坊を連れ去り消えた 君の悪い夢も私が全部食べてあげる痛いの痛いの飛んでいけ安らかな歌声を ブーゲンビリアの花が咲いた給水塔の上で夜明けは紫陽花の様眠る水脈は透明に 震えては聞こえないふりをまどろみが君を傷付けて止まないんだ 思い出の話を語っておくれよ 曖昧な格好で洒がれた闇さえ飲干して息を…

  • 病棟305号室 – ハチ

    患者が一人 花弁を剥いで病棟汚し ケラケラ言う「全部アタシの宝物よ綺麗でしょう?」 患者が一人 踊り踊って風船揺らし 肺の中より体温さえも目を逸す様な愛を歌っている 閑静に歌って透明な手曖昧に伝って その名前のう胞さえも チョコレート甘い血を匿い 聴診に アンプルの音心音 逃避 注射器の日血清 抜いた チューブの先見て!ここに! 雨が降る街に 悪魔の声がランバラ落とし物 探してる微かに鳴るのは 君…

  • 演劇テレプシコーラ – ハチ

    揺れて 傾く 照明の灯ここは 童話の 世界さ踵 鳴らして 踊ってる君の 手に 忘れた 林檎 片手に 狼が「落とした のは 君か?」と揺れる 世界に 耐えかねて枯葉の 様に 落ちた フォリン目が眩んでは立ち尽くしてるアメイジン観客はもう一人もいない 小指に 繋がる 赤い糸電線に 絡まり 解けない喉の 途中で 引っかかる台詞 一つ 飲み込んだ 影絵になって人形になって踊り踊れ言葉を吐け拳銃を持って拳銃…

  • リンネ – ハチ

    黒い山羊が呟いた「白線よりお下がりよ鈍色電車通り去って」 隣りで猫が問い掛けた「アナタは何処に向かうんだいここらも直に死んじまって」 赤の手首携えて私一人 ふわり根無し草錆びた水を飲み込んで次の駅 またどうか どうか愛を帰りの電車は何処にも無いわ教えてダアリン ダアリン ねえダアリン声が聞こえたような気がした 枯れた花は咲いた「感情がない、感情がない、心は憂い夕を吐いて」 蝉の泣いて堕ちる頃電線が…

  • マトリョシカ – ハチ

    考え過ぎのメッセージ誰に届くかも知らないできっと私はいつでもそう継ぎ接ぎ狂ったマトリョシカ 頭痛が歌うパッケージいつまで経っても針は四時誰も教えてくれないで世界は逆さに回り出す ああ、割れそうだ記憶も全部投げ出してああ、知りたいな深くまで あのね、もっといっぱい舞って頂戴カリンカ?マリンカ?弦を弾いてこんな感情どうしようか?ちょっと教えてくれないか?感度良好 524フロイト?ケロイド?鍵を叩いて全…

  • パンダヒーロー – ハチ

    廃材にパイプ 錆びた車輪銘々に狂った 絵画の市黄色いダーツ板に 注射の針とホームベースに 縫糸の手 お困りならばあいつを呼べ送電塔が囲むグラウンド白黒曖昧な正義のヒーロー左手には金属バット ノイズだけ吐いて 犬ラジオフラフラにネオン バニーガール相場はオピウムの種一粒奥の方に呑まれていく 「一つ頼むぜ、お願いだ」カラカラの林檎差し出して何でもないような声で愚図ってさあ 何処にも行けないな パッパッ…

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