チュウたん(大原さやか)

窮猫ハ鼠ヲモ噛メズ – チュウたん(大原さやか)

届かない前肢を 何故伸ばしてまで頂に這い登る
悉く赦しは朽ちた 儚い猫の其の夢は 囓り棄てよう

愚昧な猫には一日遅れの時計を。
何人が卑劣と宣おうが構わぬ。
然らば我には、救いも光もいらぬ。

我は闇の中に潜み、影の中に住み。
回る暦の上、十二の年を率い。
弛み無く人間達の地を守るのが定め。

誰の刃の傷痕か 汚泥の如き憎悪だけが記憶する
朔は遠く鼠を照らす 灯るが儘の光には 歪な陰を

忌々しい猫族の輩がにゃあ、にゃあと鳴く聲を耳にする度、
募る憎悪。湧き上がる憤懣。
どうして彼奴らを干支神にすることができよう。
されど歩みを止めないのであれば。
我が鞭剣の錆と消えるがいい。

灰色の嫌厭を映した 毛皮を靜に影が隠す
黒色の渦巻く焔 我が胸の奥底に燃え 天をも焦がす

嗚呼、嗚呼

届かない前肢を 何故伸ばしてまで頂に這い登る
悉く赦しは朽ちた 儚い猫の其の夢は囓り棄てよう

嘘は罪 真実は罰

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