ひとっこひとりいないスーパーで
自動ピアノがジャズを奏でてる
エントランスではフルーツたちが
農薬いっぱい浴びた肌 光らせてる
終わった世界のスーパーで
ピアノがシティ・ポップス弾いてる でも
株式市場は止まったままで
野菜たちはむすっとむくれてる だから
白鍵と黒鍵のあいだで
君の指 まだ迷っている
ほんとに出したい音は
ひとけのないテレビのスタジオで
透明人間がバラエティ ほら
カメラのなかはバラ色で
日常をクロマキー合成している
次は中継です 戦場で
透明人間が弾け飛ぶ でも
血も肉も肌も透明だから
ミサイル飛び交うミクスト・メディアみたい
白鍵と黒鍵のあいだで
黄色い指 またもつれている
ほんとにあげたい声は
閉店間際のショッピングモール
館内放送 ヒップホップ 流れたら
買えないものはなにひとつないけど
なんにも買いたくなくなっちゃった 僕ら
二十四時間営業の
ファミリーレストランでキスをしたあと
二十四時間 一緒にいたね
君の背中に腕からませたけれど
白鍵と黒鍵のあいだで
僕の指 まだ迷っている
ほんとにこれが愛か
唇と唇のあいだで
僕の舌 まだ迷っている
ほんとにこれが愛か
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