アクラム(置鮎龍太郎)

日蝕の鍵穴 – アクラム(置鮎龍太郎)

緑瑪瑙の足枷を 引き摺る蜃気楼
瞼には氷晶の 砂漠が広がる

火蛾が逃げ水に 身を投げ溺れる
美しき終焉と 不死酒でも呷ろう

ああ お前を 氷杭の檻で愛でようか
否 お前を 赤珊瑚の椅子に座らせて 沈めたいのか

日蝕の鍵穴
胸に奈落の底
何処にゆけばよい
自堕落すぎて永眠れもしない

砂の花弁を 齧れば馨しい
飄風を殺せぬと 蠍の懺悔よ

空耳に静寂の 悲鳴が止まない
生きながら閉ざされた 暗冥の柩

ああ お前を 蜜蝋に閉じ込めようか
唯 お前に 幾千の玉虫の羽根ちぎり 埋め尽くそうか

日蝕の鍵穴
胸に奈落の底
何をすればいい
退屈すぎて語れもしない

日蝕の絶望 日蝕の恍惚
お前が私に重なり 孤独に鍵穴 開けるのか

蟻の葬列よ 朽ちた青薔薇よ
歪む砂塵の城 己を白昼夢の中で嘲笑おう

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ああ 散り急ぐ紅葉もう いいのだその 最期の際の 美しき深紅よお前 お前が離さぬ この手は幻だ否すべて 亡霊の身よお前が 泣くことはない今 終焉が 始まるのだ永

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