蒼い月が繊(ほそ)い光(かげ)を落とす
凍てる夜の底
朽ちて欠けた白い壁にのびる
蔓草の左巻きのかすかな螺子が
置き去られた睡みの時間(とき)を捲きとり
わたしの魂(こころ) 静謐(せいひつ)の夜に還す
鎖(とざ)された薔薇(はな)の 頬伝う夜露の雫
世界包むこの黒い垂帳(とばり)さえ
わたしの瞼(まぶた)に 触れることはできない
白い花の天蓋 草の柩
儚く光るまぼろし 此処は終(つい)の庭
指を染める 棘で編んだこの城壁
わたしの魂(こころ)囲んで 高く高くのびゆく
鎖(とざ)された薔薇(はな)の 誰も知らぬ吐息の欠片(かけら)
世界を見下ろす夜天(よる)の睛(ひとみ)さえ
この胸の裡を 知ることはできない
解けゆく薔薇(はな)の 幾重の薄絹の眠り
世界を抱く その夜の腕(かいな)さえ
わたしの裳裾に 触れることはできない
百の花弁(centifolia) 薔薇(そうび)の孤独
ひとりきりのユメ
ひとりだけのユメ
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桜散ル夜~ハナチルヤ~ – みとせのりこ 花匂う刹那一夜を限り この夢に酔い痴れ春の世を謳歌(うた)え月は果敢なく 夜天(そら)を翔けて過ぎゆく時代(とき)は徒(いたづ)らに栄華と闇夜の間(はざかい)に
片羽(カタハ)のコトリ – みとせのりこ 自覚と自戒の狭間に浮かぶこの世は涯てない無間の火宅意識と儀式の波間に潜むこの身は厭かない無辺の孤独夜の底に灯る火は誘蛾灯指先も見えはしない本能も衝動も全ては格子
音のないウタ – みとせのりこ 凍てつく薄氷(うすらい)の 窓の中かすかに映る 幻影(かげ)ひとつ 罅割れて軋む歯車が刻む記憶抜けない棘 消えない声 凍る痛み見上げた空指をすり抜けてゆく 幾千
神様のいないクリスマス – みとせのりこ キャンドルのあかりが まちじゅうをてらしてきょうだけはせかいも いのりにみちてるきらめくきんとぎんのひかりつくりものの おほしさまむかし ママがいってたことかみ
STIGMATA – みとせのりこ 閉じかけた瞳に 偽りを映して絡み合う運命は 過ちに灼かれて目を伏せ祈りを捧げる 深く蒼き闇の中で跪く者の握り締めた手に 刻まれた聖痕のように禍神の凍てつく瞳よ
白と黒の祭儀 – みとせのりこ 夜に浮かんだ 上弦の月欠けてゆらり零れる 紅玉石の色の雫足音ひとつたてずに通り過ぎるしなやかな闇 纏う 猫たちの影細い祭儀の詞混沌の淵 解き放つ名前それは刻まれ
宵待ロマンチカ – みとせのりこ 戀せよ乙女戀せよ乙女 花の生命は 短きものと嘯(うそぶ)いて戀せよ乙女 花の色は 移りにけりな徒(いたづ)らに貴方の聲を聴けば 夢でも一目逢いたくて千々に乱れる
君知ル哉、此ノ華 – みとせのりこ 煉瓦の舗道(みち)に黄昏色(セピア)の翳落ちたならば瓦斯燈の火が きらり 夜に灯る光も翳も希望も 綯い交ぜの街片隅に咲く 君よ知るや この花の色胸秘めし この花
天球トロイメライ – みとせのりこ 黄昏に 凍てる藍(あお)が滲む 天(そら)の汀(みぎわ)降りてくる 宵の垂帳散りばめた玻璃玉(びいどろ)言葉は星を 繋ぐように曖昧な像(かたち)を みせてもこの
小さな庭 – みとせのりこ わたしが この人を近いとき亡(うしな)うと知った日空は青く 緑は風にきらめいていたわたしのこころは さざなみに覆われ揺られているのに世界はただ澄み渡り 小さな庭
朧月夜 – みとせのりこ 菜の花畠に 入り日薄れ見わたす山の端 霞ふかし春風そよふく空を見れば夕月かかりて におい淡し里わの火影も 森の色も田中の小路を たどる人も蛙のなくねも かねの音