まなつ

夜のこと。 – まなつ

いつになく 跳ねた声も
少し濃くなった化粧も
きっと僕らの影を捨てて
それでも 君が好きだった

未だありきたりな言葉すら
浮ついて黙ったままだよ
僕らしくとか 君らしく
諦めた夜のこと

最後の電車がもう
君を連れ去ってゆくんだ
髪が触れる距離に笑顔を
それでよかったのに

2人だけの夢をみた
淡い青い日々をずっと
美しく ただ美しく
焼き付けたままで 動けなくなる

もう君は幸せでいてよ
情けない僕でごめんよ
僕らしくなんて 馬鹿らしく
片付けた夜のこと

最後の電車はもう
君をのせて走った
残された僕に遠い月が
知らん顔で傾く

ありがとうって言ってなんか
変わったって言うの
バカだなあって言って笑って
いつものままで

最後の電車はもう
君を連れ去っていった
何もできずに 手を振るだけ
それしかなかったんだ

最後の電車がもう
見えなくなるまで
それでよかったんだ
それがよかったんだ

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