まつざき幸介

  • ふるさと川 – まつざき幸介

    岸辺の雪が 解ける頃一緒に摘んだ 蕗のとう初めて知った 恋なのに心を明かす すべもなく…あぁ青春(はる)の痛みも あぁなつかしいふるさと川よ くちびる淡く ふれた日は桑の葉ゆれて 蝉しぐれ山なみ青く 空高くこの世に君と ふたりきり…あぁ胸に今でも あぁ流れて行くふるさと川よ 夕陽に染まる 花すすきおさげの髪に 赤とんぼまぶたを閉じて 思うのはきらめく水面 遠い憧憬(ゆめ)…あぁ時の彼方に あぁ置い…

  • 悲愛 – まつざき幸介

    鏡に映る 夕日の影に沿わせるように ルージュを引いて窓から見える 摩天楼にも背中を向けて あなたを抱きしめるいつだって 幸せなど背伸びして 求めた訳じゃない悲しすぎる愛を 行きずりと呼びましょう涙隠して 交わし合うのよ燃える口づけ 夜明けの空の 色を見たいと一度もそれを 叶えられずに帰らなくちゃと ボタンを掛けるその仕草に 心が揺れているちょうどいい 幸せなど私の他に ないはずなのに悲しすぎる愛を…

  • 願い – まつざき幸介

    翳りゆく街並み 海風が吹き抜けるふたりで暮らした 部屋が蘇る季節の香りと 甘い髪の香りが貴女の後ろ姿 探させるあの日見た夢は ずっと自由だったと思うよ限りなく広がる空 眩いほどに 青くそして願おう遠い日々が溢れる場所からまた 愛し合えるよう 走り去る車の波も人影も黄昏ゆく景色に 飲み込まれてく優しい雨に打たれ 思いがけず遠くまで思い出を抱きしめて 来たようだあの日出た旅は きっと自由過ぎたと思うよ…

  • 思い出にする前に – まつざき幸介

    こんな時が いつかは来ると分かっていたわ 幸せなんて夢だと 夢だと愛することは 止められないわ誰かの元へ 急ぐあなたに涙は 邪魔なだけそして季節さえ 彩(いろ)を変えた 思い出にする その前にもう一度 お願い抱きしめてやさしい 言葉などいらないの私にください 最後のぬくもり 花をいつも 窓辺に飾りあなたの好きな お酒を揃え待ってた 待ってたままごとみたい 小さな部屋で約束なんて なくてもいいと命を…

  • 哀しみのアドレス – まつざき幸介

    今でもふと 人込みの中あなた探してる 私がいるの電話のベル 鳴るたびになぜか心ふるえる 私がいる あなたは 帰らないのに愛が消えて くれなくて…ロンリネス ハロー ロンリネス たそがれの街 灯りがにじむこの哀しみを 風よ届けてアドレスはあなた あなたの胸の中 愛したこと 悔やみたくなくていつも幸せの ページをめくる失くした恋 痛みだけ残し憎むことさえ できないのよ 季節は 幾つもすぎて…

  • 涙のピリオド – まつざき幸介

    合鍵(かぎ)を返しに 来た部屋は今日も西陽(にしび)と あなたの匂い逢えば別れを 切り出せなくていつも抱かれて しまうから残して行くわね 置き手紙さよならと綴れば あとは何にもあとは何にも 書けなくてポトリ一粒落ちた 涙のピリオド 胸に刺さった 哀しみは愛の終わりを 感じるせいねせめて泣き顔 見られたくない幕を引くのは 私から最後の恋文 置き手紙さよならと綴れば あとはあなたがあとはあなたが 読む…

  • 心揺れるままに – まつざき幸介

    君の寝顔の 無邪気さに思わず微笑む 僕がいる口には出せない いとしさに包まれる静かな 夜明け前 君が僕の胸に 舞い降りてきたあの日の出逢いを 奇跡と呼ぼう心揺れるままに 戸惑いながら愛したい守りたい 抱きしめたいこの命ある限り 夢がなにより 大事だと追いかけ生きてた 僕だった不思議さ夢さえ 色あせる幸せがこの世に あることが 君のために生きる そう決めてから失う怖さも 感じているよ心揺れるままに …

  • 落葉樹 – まつざき幸介

    抜け殻よ 今の私 悲しみも感じないなのに変ね 涙だけがただこぼれ落ちる時がたてば移ろう季節どんな恋にも終わりが来る知っていたわ 覚悟をしてたわだって大人同士の仲落葉樹散り急ぐ おまえはなぜ散り急ぐああ…未練ですか もう一度会いたくて 帰らないあなただけど 何もかも許しましょう胸の痛み忘れさせて 眠らせて今は二人きりで過ごした日々は どんな夢より輝いてただからいいの だから追わないそれが私の愛し方落…

  • 海風 – まつざき幸介

    海風 海風 心に何も 残らぬように海風 海風 涙の雫さえも ほんの些細な 言葉が刺さりふたりの間に 溝を隠してやがて渡れぬ 深い河が流れたまるで ガラス 割れる みたいなそんな 音が 胸に響いた海風 海風 想いの欠片心を刺して海風 海風 愛した記憶さえも 時の悪戯 すれ違いからふたりの間に 影が潜んで明日も見えない 寒い夜が続いたまるで それは 薄い 氷の道を 歩く 旅人のよう海風 海風 遥かな海…

  • 積木の部屋 – まつざき幸介

    いつの間にか君と暮らしはじめていた西日だけが入るせまい部屋で二人君に出来ることはボタン付けとそうじだけど充ち足りていたやりきれぬ淋しさも愚痴もおたがいのぬくもりで消したもしもどちらかもっと強い気持ちでいたら愛は続いていたのかリンゴかじりながら語り明かしたよね愛はあれから何処へ 二人ここを出てもすぐに誰か住むさ僕らに似た若い恋人かもしれないきれい好きな君がみがきこんだ窓にどんな灯りがともる限りないも…

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