はちみつぱい

薬屋さん – はちみつぱい

紫陽花の花が
六月の雨に濡れているよ
だから
窓を開けて
だから
窓を開けて
薬瓶から零れ落ちる
悲しい雨垂れ
一粒
あいつの噂 忘れるさ

朝顔の花が
七月の朝に揺れているよ
だから
手を伸ばして
だから
手を伸ばして
テニス・コートが燃えている朝に
陽気に唄う 伊太利の唄

薬屋さんよ
胸の痛みを運んでおくれ
さもないと薬箱が風に舞う

長椅子に凭れ
八月の声を聞く頃ともなると
ただ
齢をとるばかりで
ただ
齢をとるばかりで

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酔いどれダンス・ミュージック – はちみつぱい

夜ともなれば 聞こえてくる流行のダンスを教えようか不況の嵐を吹きとばす酔いどれダンスミュージック夜が更けるまで近所の人がたくさん集まって我が家の二階は憩いのダン

夜は静か 通り静か – はちみつぱい

夜は静か 通り静か恋の悩み 買いましょ涙の中 お砂糖幾つ一人の夜は 三つねスプーンにうつしてさ可愛い女の微笑みレモン一切れのせればね何か切なくなるの夜は静か 通

センチメンタル通り – はちみつぱい

海岸通りは大粒の雨濡れてゆくよせんちめんたるどおり夜泣き電線風にあわせて只一言“優しい人ね”ゼンマイ仕掛けの錆びた万国旗機械油の唄に色めいて通せんぼせんちめんた

月夜のドライヴ – はちみつぱい

ぽっかり月が出たらスポーツカーで出かけましょハイウェイは ほのぼのかしらじらか ぼくらを待っている今夜は 春の宵じゃないかムーンライトドライヴブルルン ブルルン

釣り糸 – はちみつぱい

髭の爺さんと釣り糸を池に垂らしていた苦いくわえ煙草が目に染みて苛立つ涙を拭って空を見上げればぼくはどうでも良かったんだ爺さんは黙って釣竿を握りしめていた枯れ葉は

ぼくの倖せ – はちみつぱい

本当に愛していたんだよ生きていたんだもの本当に好きになりたくて僕の為じゃなく何も知らぬうちにすべてはね変わっていったさ地球はまわりまわって元の位置明るい朝に夢が

塀の上で – はちみつぱい

空は未だ群青色の朝外はそぼ降る鈍色の雨窓にこびりついた残り顔流し牛乳瓶に注ぎ込む雨よ惚れられ惚れて早一年経って若さと馬鹿さ空転りするさヒールが七糎のブーツをはい

土手の向こうに – はちみつぱい

冬さえくれば いくらか変わるはずさ それだけで君さえくれば いくらか変わるはずさ それだけで待ち草臥れて燗れた夏は土手の向こうに打ち捨てといて倦怠い君も土手の向

君と旅行鞄 – はちみつぱい

本当に愛していたんだよ大人げな横顔を本当に好きになりたくて生きていたんだもの何も知らぬうちに全てはね変わっていったささよなら風が運んだ甘い夢思い出つめた 旅行鞄

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