しばたはつみ

化石の荒野 – しばたはつみ

さめた男の胸板に
耳をあてれば聴こえて来る
すすり泣くような北風と
獣(けもの)のうなり

人は化石の街に住み
愛の欠片(かけら)を探している
時の魔術師にだまされて
心を開いて

remember 愛は血を流す
remember そんな日もあった
肌のぬくもりだけ
それだけを信じた日々が

暗い瞳に揺れ動く
白い翼の鳥の群れは
何に驚いてとび立つか
灰色の空へ

remember 愛は血を流す
remember そんな日もあった
春が訪れたと
ときめいて くちづけた日が

背中合せに眠るのは
胸がつめたく思えるから
朝のまぶしさを待ちわびて
夢さえ忘れる

人は化石の街に住み
愛の欠片(かけら)を探している
時の魔術師にだまされて
心を開いて

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