しなの椰惠

16歳 – しなの椰惠

そう、本当は分かってた
パパとママが離れてゆくことを
小さいさな頃から真夜中に争ってる声を
ベッドで聞いてた
寝たふりをしてずっと聞いてたよ
私は布団をかぶって
声を押し殺して泣いた

16歳、、、
16歳、、、

ママが出て行った後
パパに女の人ができてさ
一緒に暮らし始めたんだ
私の居場所は少しずつなくなった
あの人パパに内緒で私にお金を握らせてさ
「もうこれで今日は帰って来ないで」って
笑っちゃうよな

私は暗闇に向かって叫ぶ
「もういいかい?」
「もういいかい?」
「もういいかい?」

遠くから返ってくる返事はいつも同じで
冷たい声で
「まぁだだよ」

16で家を出た
学校は辞めたよ
爪を赤く塗り髪を染め
夜の街へ翔けていった
ここは学校なんかよりたくさんのことを教えてくれた
春を売ってたアカリは
私を必要としてくれた

16歳、、、
16歳、、、

大嫌いな大人をこの瞳で睨んだ
大切な人を泣かせてしまう自分を憎んだ
嘘が上手になった私は
だんだん段々大嫌いだった大人に
近づいてんのかな

私は暗闇に向かって叫ぶ
「もういいかい?」
「もういいかい?」
「もういいかい?」

遠くから返ってくる返事はいつも同じで
冷たい声で
「まぁだだよ」

大きく息を吸い込めば
誰の心の中にだって
風は吹いてくれるから
そう、アンタに言ってんだよ
人のせいにしたり言い訳探して逃げるのはもうやめた

一体誰のための人生なんだ
やっと気づいた

私は暗闇に向かって叫ぶ
「もういいかい?」
「もういいかい?」
「もういいかい?」

遠くから返ってくる返事が聞こえたの
優しい声で
「もういいよ、、、もういいよ」

その声は私自身だった
その声は私自身だった
やっと私を見つけてくれたんだね

16歳、、、
16歳、、、
16歳、、、

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