さユり

アノニマス – さユり

太陽が街に飛び降りてきた
朱く揺れる世界がとても綺麗だった
行き交う人々のさんざめく声が
鼓膜の中でねじれて娯楽映画みたいだ

繋がらない関係ない世界に関係していたくて
俯瞰中毒、幽霊みたい
私は自分の輪郭を確かめている

ねえ
悲劇を欲したその目の内側で帰る場所を探してる
偽物ばっかりの街の中で信じられる何かを

アノニマス
本当の声で言葉で話がしたいの
アノニマス
誰か聞いているのなら、応答してよ

太陽が空へ高く昇っていった
煌めき出す世界はモノクロに見えてた
繰り返すサイクルに吸い込まれぬように
抗ってみても今日も抜け道はなくて

街行く人は皆無表情で その実体内に歪みを湛えて
取り繕ってるその殻壊して全て
いっせーので溢れ出してしまえたなら

冷たく笑ったその目の裏側で何を掴もうとしていたの?
戯言ばっかりのページの中で本当の顔で叫ぶよ

アノニマス
言いたいことがあるなら姿を見せてよ
アノニマス
画面上なんかじゃなく 声を上げて

譲れない一瞬、一音を
命燃やして生きてみたいの
愛しくて涙溢れるような痛みを 喜びを
見つけ出せ 五感で
今”生きている”実感を 衝動を

ねえ
悲劇を欲したその目の内側で帰る場所を探してる
偽物ばっかりの街の中で信じられる何かを

アノニマス
ここに宣戦布告の光を灯すよ
アノニマス
今 届いているのなら、応答してよ

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