さよならポニーテール

やせっぽちのメイリン – さよならポニーテール

痩せっぽちのメイリン
生まれ育ちは乳児院
母も知らず 父も知らず
里も知らず きみひとり

雨に濡れても
差し伸べられた手に噛み付く
野良猫のような鋭い眼で
ぼくを見てる
ひとりぼっちのメイリン

さあ、逃げ出そう

やけっぱちのメイリン
追いかけてくる捜査員
お金もない 住む家もない
その日暮らしのメイリン

彼を見た途端 助けを求めて
ぼくを見つめる青い瞳
きみの手を取り走り出す
新しい場面が回り出す

さあ、逃げ出そう
このくだらない現実から

愛してるってなんて素敵なこと
恋してるってなんて気持ちがいいの
いきなりこんなことになって
心の準備すらできてない
何をやらかしたんだメイリン
きみは知らないフリさ

車飛ばしてメイリン
きみとふたりで逃避行
先の見えない社会から
はぐれたふたり行くあてなどない

田舎の国道沿いのモーテル
愛するふたり たどたどしく
呪われた過去など忘れてしまおう
きみといるならメイリン

「メイリンて本名なの?」
「知らない」
「家族はホントにいないの?」
「そんなこと聞いてどうするの」
「ごめん」
「ねえ、人を殺したこと、ある?」
「え…殺したの??」
「知らない」
「…なんで、ついてきたの?」
「他に行くとこないから」?
「なるほど」

すかした顔のメイリン
たまたま止まった道の駅
いつか見たよな黒い車
いつか見たよな黒い影

あんたはいつかの捜査員
あんたもなかなかしつこい
メイリンは隠れてな「待ってくれ」
え、何?聞こえない

「ぼくは、きみのお父さんだよ」

さあ、祝福しよう
このくだらない現実を

愛してるってなんて素敵なこと
恋してるってなんて気持ちがいいの
いきなりそんなこと言われても
心の準備すらできてない
パパママどうだっていいなんて
さっき言ってたよね わたし

「さあ、一緒に行こう」
「いやよ!」
「えー、せっかくここまで来たのに。
まあ、お茶だけでも、彼氏さんも、ほら」
「彼氏じゃないわよ!」
「えっ、違うの!俺、違うの?」
「まあまあ、じゃあお友達も、ほら」

痩せっぽちの やけっぱちの
デコッパチのメイリン
ひとりじゃないぜメイリン
生きろメイリン
愛しているぜ、メイリン

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