さだまさし

教室のドン・キホーテ – さだまさし

今年も卒業の季節になりましたね お元気ですか
忘れ雪の舞う空を 見る度あの頃荒れていた自分を思い出す
耐えきれずに羊の群れを 飛び出して迷っていた頃
先生から届いた手書きの 卒業証書抱きしめて泣いた沈丁花の頃
僕は与えることを知らず ただ求めてばかりいたようだ
わけもなく人を傷つけ わけもなく自分も傷つき
それが生きることだと あきらめていた
世の中は少しずつの 勘違いで成り立っている
噛み合えば愛し合い 噛み合わずに憎み合う
そんな風に少しずつわかってきた それはそれで悲しいけれど

去年の夏 蝉時雨に 背中を押されて先生に
会いにいった時 「あの頃の忘れ物を取りに来たか」と言ったね
僕にも気づいたよ今 学校はあの頃よりも
もっとずっと沢山の 悲しい忘れ物に満ちていて自信を失くしてる
「時代はいつも生け贅として 弱いものに襲いかかるもの」
つぶやきながらあなたは それとまだ戦っていた
ドン・キホーテのようだよと 笑いながら
世の中は善と悪とのすれ違いでできている
いい人が罪を犯したり悪い人がいいことをすることも
あるということがわかった そう言ったらあなたは泣きながら笑った

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