さだまさし

建具屋カトーの決心 −儂がジジイになった頃− – さだまさし

建具屋カトーはこの頃 長いスランプにおち入ってる
町の消防団のけいこにも 力が入らないでいる
原因はあの無茶苦茶な 消費税のせいばかりでなく
勿論仕上げの遅れた サダ家の
便所の扉のせい でもない

この頃カトーは自分が ガイジンになってしまった気がしてる
絶滅間近の 朱鷺という名の美しい鳥のように
ニッポンジンて奴がどんどんいなくなってるじゃねェかョ
冷や酒 口に運び乍ら彼は
淋しそうに そう つぶやいた

マニュアル・ビジュアル・セクシャル
あいつら 都合が悪くなっとヨ
何だか訳のわかんねぇ言葉で ごまかしやがってヨ

何だ トレンデーのヤングの為の
スペシャル・コーデネートの
デーシーブランドの プレタポルテったって おめえ
どーゆー意味だか さっぱり分かんねぇな

そう思わねぇかヨ 兄弟
そう思わねぇか まさし おめえよ

彼は少し赤くなった顔で
僕にそう言った

彼はこの頃 子供達が風の子でなくなったと嘆いてる
上目づかいの淋しい目で 冷たく笑うのを悲しんでる
原因はその母親が 母として堕落したからで
勿論悪いのは そうさせた
その夫たちだと怒ってる

政治も学校もTVも本もカネも みな悪いけれど
もっともっと悪いのはそんな親に育てたじじとばば達だってサ
子供に気に入られようと ガンコじじいやごうつくババアが
いなくなった事が世間の秩序を
乱したと彼は 主張している

人間国宝になる 予定を変更して彼は
世の為 人の為に いやなジジイになる決心をした
「あ、そりゃ僕も賛成だな」って言うと
そんじゃ共に手をとり合って
いやなジジイになろうじゃねェのって
大声で笑った

さあ 手をとり合って 共に立ち上がろう
「さあ 手をとり合って 共に立ち上がろう
僕たちは まだ間に合うと思うんです
さあみんなで ガンコじじいやごーつくババアになろう
ハンド・イン・じじい」

建具屋カトーは 谷村さんのファンであった

年にも負けず 病気にも負けず 金で負けても ロマンは売らない
いつも心に歌を忘れず 若い友達に夢を語ろう
東に危険な子供あれば あぶねーことやめろと張り倒し
西に生意気な娘があれば
行って 優しく屁をかましてあげよう

北に淋しき未亡人あれば 行って共に梅こぶ茶をすすりつつ
青春はこれからですよと はげまし
ついでに自分の頭もはげましてたりして
南に迷う女学生あれば
あなたの人生の中で あなたが主人公だよと
優しく唄ってあげよう

人に くそじじいと呼ばれ
早くくたばれと ののしられ
ほめられもせず 嫌われても
けして心の愛は捨てない

そういうじじいに 私はなりたい この愛しい町で
思えば何て 美しい国に生まれて来たんだろう
こうして生きているというだけで幸せな一日がある

吹雪の如く 風を彩る 桜
天女の如く 夜空に舞う 蛍

藍より蒼き森の青 紅(べに)より赤き里の秋
静かに心を埋める 雪の白

ああ 僕等はこの美しさを この手で亡ぼそうとしている

ああ 僕はこの美しい国を 愛し乍ら憎んでいる

ん~~ ちょっと マジんなっちゃったかな

建具屋カトーと僕は そしていつかガンコじじいになる
何故か若い奴等がホラ話を聞きに集まって来る
峨眉山からゴビ砂漠に向かって しょんべんして借金して
島の王様で 昔は歌手と言っても
「嘘つけ このハゲ」かなんか言われてしまうだろう

建具屋カトーと僕は 死ぬ間際の事まで もう決めてる
若い奴等を前にして 最后は自分の大ヒット曲を歌う

「故意に」間違えたりして 最后まで笑いを取りに行ったりなんかして
そして高らかに歌うのだ

たいした人生では なかったけど
あ~~ 面白かった
思いっきり生きて来たから
あ~~ 面白かったよ
「さあ別れの時が来た
世話んなったな
最后の儀式だ
お手を拝借
『三本締め』
ご協力ありがとう
いよいよ別れの時だ
さらばぢゃ」

で もう一回生き返ってみしたりなんかして

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