おと.

  • 行き先 – おと.

    夢から覚めた何度目の朝だろうかあの頃見てたより随分先にきてしまった 吸い込んではまた吐き出せず増えた朝の手前で立ち止まる夜に 夢の続きが見えなくて絵本をなぞるように描く主人公にはなれなくて私は何処へ行く? まっさらな空にかげおくりして確かめた映ったもやは瞬きの間に薄れていく 特別な歌 増えていく魔法身を託して流れ着いた今は 小さい優しさ覚えて今日までやっと繋いできたやっとの光を信じて私は何処へ行く…

  • 秘密基地 – おと.

    遠い街に住む君だからわかることを教えて君にしか見えないものは全部君だけの“ヒミツ”だよ どこにいても、いつになっても会えるかどうかはわからないけど同じ空の下想像よりも近くにいる 秘密の共有をしようよそれは二人を繋ぐ星のようで秘密の共有は孤独を少し軽くする どこにいても、いつになっても会えるかどうかはわからないけど同じ星の上 どうか どうかずっとそばにいて 秘密の共有をしようよそれは二人を繋ぐ星のよ…

  • 生活 – おと.

    擦り切れたお揃いのTシャツ期限切れの映画のチケット捨てなさい、なんて言わないで二人が愛し合った証 二人で歩いた散歩道は何度も歩いてたはずなのにまるで知らない初めての場所あのとき私足元ばかりみていたの あの日 あの日 あの日々さえも幻?瞬きの瞬間に煌めく揺らめく あの街灯に照らされて ぼやけて忘れる 綺麗に並んだままの小説いつの間に溜まったコンビニの袋捨てられない なんでいつまでも私の部屋はあの日の…

  • ためいき – おと.

    さなぎが蝶になり羽ばたくまで綿毛が空を飛んで行くまでぽつぽつ 雨が降ってきた僕は赤い傘をそっとさした 大人はただの大きな人「僕らと何が違うの?」教わりたいことはたくさんあるのに聞けないことばかり 深く息を吸って吐いて また深く吸ってみても苦しくなって言葉が喉で詰まる深い溝を流れて流れて その隙間から這い上がってきた感情も 一瞬で煙になった おたまじゃくしが蛙になるまで小さい芽が花を咲かせるまでぽつ…

  • 空き缶 – おと.

    空っぽな私を見つめて「綺麗だ」と君は笑う空っぽな私を見つめて「どうか君はこのまま」と君は唄う 笑えない毎日が続いて空の色にも気付かない明日になったら変わるって月が昇るたびに閉じ込めた 知らないうちにできた傷に 涙が沁みていった手の届かない場所へ潜る何にもない暗がりに 言葉が沈んでいった棘さえ何処にも捨てられない 不恰好な生き方で怖がる私に「ロックンロールだね」と君は言う曖昧な未来にいる私に「君にな…

  • 誓夜 – おと.

    聞き覚えのない声で身に覚えのない話をしている空気を伝って 電波を伝って気付いたらそれから目が離せない 何度も何度も 苦しくなってあげた悲鳴は雫になって誰にも気づかれないように ずっと歪んだ自分を潰して 愛が黒くなって丸まってくしゃくしゃになって夜の深い空に溶けてしまうから君の言葉が散らばって部屋中にバラバラになって何処にも行けなくなる前に夜に誓う 繋がっていく夜と閉じた瞼の裏の色 よく似ている空気…

  • 朝に溶けて – おと.

    丸い月が上る夜に窓のない部屋で過ごしていた隣で眠る君の顔はまるで触れたら消えそうな儚さで ぎゅっと握って ぐっと踏み込んだこのビルに 2人の淡い夜は呑み込まれて 優しい夜は朝に溶けて残った君は“ごめんね”って目も合わせないんでしょう?あんなに大事に抱いたのにコンビニで買ったアルコールが2人を繋ぎ合わせたみたい 慣れない2人の初めての朝に「ニュースでもつけよう」って照れ隠しせわしなく動く君の姿きっと…

  • 守り詩 – おと.

    うさぎのような目をして 君は笑っていた誰にも 見えないところで 何かを守ってた 漂う世間の悲しみに 呑まれないでいて君は君のことを想って 泣いていてくれよ 僕がラブソングを歌うのは君がいつも1人で誰かを想いひっそりと泣くからで君は世界を愛して僕は君を愛して優しい雨を降らすんだ 乾いた風のなかでも 君は笑っていたどうかこの心だけは 傷つけないでいて 彷徨ってた 漂ってた溢れだしてた 零れ落ちた愛が、…

  • 彗星 – おと.

    出会った瞬間にいつか、が過ぎって別れを構えた全部邪魔になり捨てた跡を誰も拾えないようにして ふざけたこと言って君と笑っていた触れない距離感で道を選んでいた捻くれはぐれてた 繋ぎ損ねた手はどこにある呼んでいる呼んでいる 彗星が流れてった孤独の頭上で 幸せなぞって繋ぐように流れてった 瞼の奥の弱いところ撫でるように 私が見ている世界を誰かが黒く塗りつぶした見えない言葉で繋がった空気が鋭く耳に刺さるよう…

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